1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 01:26:23.49 ID:Uz7rjUwx0
憂「使用人なんて本当はやめてほしいんだけど・・・」
唯「仕事選べる立場じゃないもん」
憂「それはそうだけど・・・」
唯「お給金も工場よりいいし、家にも仕送りが今までよりできるよ!
それにまかないもあるし、万々歳!」
憂「・・・」
唯「そんな心配しないで!私、頑張るよ!」
憂「お姉ちゃん・・・」
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 01:32:56.08 ID:Uz7rjUwx0
時代は大正。
貧しい家柄で育った唯は平沢家の長女。
進学するお金もなく、学校卒業後働くがあまり稼げない日々を送る。
そんな中、日本で有名な家柄の琴吹家の使用人募集がかかっていること知った。
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 01:33:45.04 ID:sc4lZ3Ry0
なるほど、期待 9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 01:35:01.11 ID:Uz7rjUwx0
唯「ふーん使用人か~」
友達「使用人なんてやめときなよ。金持ちにいい奴なんていないんだから、いじめられるよ」
唯「う、うん・・・あ、けどお給金が・・・」
友達「お給金がどれだけよくたって・・・」
唯「これだけもらえれば憂の進学はなんとかなるかも・・・」
友達「ちょっと話きいて・・」
唯「私、この家の使用人になる!!!!!」
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 01:38:27.68 ID:s3pm1rChO
あかんたれみたいな時代か…いいよ 11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 01:43:11.62 ID:Uz7rjUwx0
使用人になる者にいい暮らしをしている者なんていない。
唯「合格ですか!?」
使用人頭「はい。1週間後、琴吹家に来なさい」
唯「は、はい!!!」
募集申し込みをしてから数日のことであった。
唯「(自分で思うのもあれだけど、私なんかでよかったのかな?・・・って何考えてるんだ!
私なら大丈夫!絶対大丈夫!ぜ、絶対大丈夫・・・だと思うけど)」
そして1週間後、唯は故郷から東京へと向かった。
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 01:47:37.70 ID:Uz7rjUwx0
唯「えっと、使用人の偉い人から渡された地図を見るとここが琴吹家のはずなんだけど・・・」
梓「・・・あの」
唯「う、うわ!!!」
梓「琴吹家に何か御用ですか?」
唯「え?あ、あの私今日から琴吹家の使用人に・・・」
梓「あ、そういえばそんなこと使用人頭が言ってたような・・・」
唯「・・・」
梓「分かりました。車に乗ってください」
唯「え?」
梓「ここから琴吹家の玄関まで歩くと日が暮れてしまいますよ」
唯「え!?」
梓「まぁそれは言いすぎですが・・・」
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 01:50:36.64 ID:Uz7rjUwx0
車内)
梓「私は中野 梓。琴吹家の使用人をしています」
唯「え?!あなたも?」
梓「名前は?」
唯「え、あ!平沢唯です!よ、よろしくお願いします」
梓「こちらこそよろしくです。歳はいくつですか?」
唯「18歳です」
梓「私は16歳です。あ、敬語はよしてください。堅苦しいの嫌いなんです」
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 01:53:01.71 ID:Uz7rjUwx0
唯「え、でも・・・」
梓「私がいいって言ってるんです!先輩命令ですよ」
唯「じゃあ中野さんも・・・」
梓「梓でいいです!私はこの喋り方がしっくりくるからいいです」
唯「ほ、ほんとにいいの?」
梓「はい!これからは同じ使用人同士です!一緒に頑張りましょうね!」
唯「う、うん!!」
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 01:53:44.81 ID:XPH0zegSP
華の東京でございますか。 19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 02:01:19.90 ID:Uz7rjUwx0
琴吹家)
使用人頭(以下、婆)「唯、よく来ましたね」
唯「は、はい!」
婆「今日からあなたは琴吹家につかえる使用人です。しっかり働くように」
唯「はい!」
婆「梓」
梓「はい」
婆「唯の世話はあなたに任せます。明日までに使えるようにしておきなさい」
梓「はい」
唯「あ、明日まで!?」
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 02:06:06.42 ID:Uz7rjUwx0
婆「そうです。使用人に失敗など許されませんよ」
唯「・・・」
梓「大丈夫ですよ、唯さん。私がきちんと教えてあげますから」
婆「そうですよ。梓はここの使用人をやって10年です。何でも知ってます」
唯「じゅ、10年!?」
梓「私の家系は琴吹家を支えるために産まれてきたみたいなものです。もちろんその支えというのは雑用的な意味ですけども」
婆「さあ時間はありませんよ。明日は月曜日。みなさまお出かけになられます」
梓「わかりました。それまでに教え込みます」
婆「頼みましたよ」
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 02:08:26.17 ID:Uz7rjUwx0
使用人宿舎)
唯「ここが私の部屋!?それも一人部屋!?」
梓「そうですよ。好きに使ってください」
唯「さ、さすが琴吹家・・・」
梓「感心してるヒマはないですよ。荷物を片づけて、使用人の心得ってやつを教えてやるです」
唯「はい!!」
梓「(この元気、長く続けばいいんだけど・・・)」
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 02:11:37.81 ID:Uz7rjUwx0
・・・
唯「旦那さまが屋敷から出たら『いってらっしゃいませ旦那さま』って言えばいいんだね」
梓「そうです。言うまでは顔をあげちゃダメですよ。言うときに顔をあげるです」
唯「ほうほう。・・・いってらっしゃいませ、旦那さま。こんな感じ?」
梓「姿勢がだめですね。手はこう。足はとじて・・・」
唯「こ、こう?」
梓「そうです。そしてその後、琴吹家の娘様達が出てこられます」
唯「うん」
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 02:13:41.93 ID:Uz7rjUwx0
梓「琴吹家の長女が紬様といいます。そして次女が澪様。三女が律様」
唯「紬様に澪さまにえっと・・・」
梓「律様です!!」
唯「そうそう律様」
梓「名前なんか間違えたら即効解雇ですよ?」
唯「うっ・・・」
梓「あと・・・」
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 02:18:30.11 ID:Uz7rjUwx0
梓「次女の澪様には気をつけてください」
唯「澪様に?」
梓「澪様は使用人を人間だと思っておりません」
唯「え?」
梓「会えば分かります」
唯「・・・」
梓「あと紬様にも注意ですね。あの方は何を考えてるのか分かりません」
唯「う、うん。あ、じゃあ律様にも気をつけた方が・・・」
梓「あの方は大丈夫です」
唯「そうなの?」
梓「はい。あの方はとてもお優しい方です」
唯「そ、そうなんだ!」ほっ
梓「バカなのが欠点なんだけど・・・」
唯「なんか言った?」
梓「い、いえ!」
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 02:22:56.46 ID:Uz7rjUwx0
梓「あと私達は使用人です」
唯「う、うん」
梓「琴吹家の方々には質問は禁止です」
唯「え?!そうなの!?」
梓「当たり前です。使用人ですもん」
唯「わ、わかんないことあったら・・・」
梓「わかんないこととは?」
唯「え・・・へ、部屋がどこにあるかとか」
梓「バカですか!!!そんなこと琴吹家の方々に質問してみてください!即解雇ですよ!」
唯「うっ・・・」
梓「わからないことは私やほかの使用人に聞いてください。わかりましたね?」
唯「はい・・・」
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 02:26:45.13 ID:Uz7rjUwx0
・・・
梓「これだけ教え込めば完璧・・・ではないですが、まあまあなところでしょう」
唯「つ、疲れた・・・」
梓「この程度で疲れてどうするですか!」
唯「うっ・・・」
梓「あ、ちなみに起床は朝5時ですよ」
唯「ご、5時!?」
梓「はい。寝坊なんて許されませんよ?」
唯「やっていけるかな・・・」
梓「お給金貰うんだからちゃんとしてください」
唯「うっ・・・。16歳なのにしっかりしてる」
梓「16歳でも18歳でも使用人は使用人です。お仕事です」
唯「う、うん」
梓「頑張りましょうね」
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 02:29:41.42 ID:Uz7rjUwx0
そして朝5時
唯「う~むにゃむにゃ・・・」
バンッ!!!
梓「唯さん!!!いつまで寝てるですか!?」
唯「ん~・・・もうちょっと~」
梓「起きてください!!!起床の時間ですよ!!!」
唯「んー・・・?」
梓「さっそく寝坊とはいい度胸ですね!?」
唯「え?・・・はっ!!や、やば!!!」
梓「やばいどころじゃないです!婆さんがカンカンですよ?!」
唯「えええええ!?ど、どうしよう、怒られる!!!」
梓「唯さんが悪いんです!怒られることです!」
唯「そ、そんなあああ」
梓「とにかく今は早く支度してください!みんな待ってます!!」
唯「はあああい!!!」
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 02:31:26.66 ID:Uz7rjUwx0
使用人宿舎廊下
婆「唯、初日にさっそくやってくれましたね」
唯「すみません・・・」
婆「気が弛んでる証拠です。いいですか、使用人とは(ガミガミ」
梓「(あーあ、これは長いお説教になるな~)」
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 02:35:30.30 ID:Uz7rjUwx0
・・・
婆「今日から琴吹家の使用人として働くことになった平沢唯です。
みなさんも使用人初日を思い返してみてください。分からないことだらけでしたね?
この子も同じです。分からないことはしっかり教えてあげてください」
皆「はい!」
唯「平沢唯です!よ、よろしくお願いします!!」
婆「ではさっそく手分けして掃除してもらいます。解散!」
唯「わ、私はどこに・・・」
婆「梓!」
梓「はい!」
婆「慣れるまで唯と一緒に行動して色々教えてあげてください。頼みましたよ」
梓「わかりました」
唯「よろしくね」
梓「任せてください!」
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 02:38:11.80 ID:Uz7rjUwx0
琴吹家屋敷内
唯「ひ、広い・・・」ごくり
梓「感動してるヒマありませんよ?」
唯「そうでした!」
梓「はぁ・・・、じゃあ唯さん。ここの手すりを掃除してください」
唯「わかった!」
梓「・・・」
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 02:40:28.61 ID:Uz7rjUwx0
数分後・・・
唯「終わったよ!」
梓「もうですか!?」
唯「え?う、うん」
梓「・・・ダメです」
唯「え!?」
梓「ここ、ホコリがあります。あと手垢も残ってます」
唯「え・・・気付かなかった・・・」
梓「こんなんじゃダメダメです。御実家でされてた掃除とはまったく意味が違うですよ」
唯「そ、そうなの?」
梓「毎日が大掃除だと思った方がいいです。はい、やり直し」
唯「はい!」
梓「大丈夫かな・・・」
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 02:43:34.14 ID:Uz7rjUwx0
婆「梓!」
梓「はい!!・・・じゃあ唯さん、ここの掃除頼んだですよ」
唯「どこ行くの?」
梓「朝食の時間です」
唯「え、梓ちゃんだけ!?」
梓「・・・何を言ってるですか」
唯「え、朝食って・・」
梓「琴吹家の方々の朝食です!!!」
唯「はっ・・・!!!」
梓「琴吹家の方々より使用人が先に食べれるわけないでしょう・・・」
唯「そう言われれば・・・」
梓「しっかりしてください」
唯「はい・・・」
梓「では行ってきますね」
唯「はい!」
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 02:46:51.58 ID:Uz7rjUwx0
唯「いっぱい動いたからお腹減っちゃったなー。けど今日から私は使用人!
腹の虫になんか負けてられるか!」
律「んー・・・」
唯「!?」
律「トイレ、トイレ・・・」
唯「・・・」
律「・・・ん?」
唯「ひっ!!!」
律「なんだぁ?見ない顔だな・・・」
唯「あ、あの・・・」
律「ん~?」
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 02:47:38.17 ID:Uz7rjUwx0
梓「あ、いた!!!律さま!!」
律「お、梓。おは・・・」
梓「もう!!!!また寝ぼけてどこ行くですか!」
律「え、ト、トイレに・・・」
梓「トイレはそっちにないです!!!」
律「はっ!!!!」
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 02:51:18.03 ID:Uz7rjUwx0
梓「もう!!律様は毎朝毎朝・・・」
律「す、すまん・・・」
梓「って!!唯さん!律様にご挨拶しましたか!?」
唯「え!?」
梓「その様子だとしてないようですね」
律「新入りか?」
梓「はい。今日からです」
律「だったら仕方ねーよ。そんな怒るなって」
梓「で、でも・・・」
律「私はここ家の三女、律だ。よろしくな」
唯「わ、私は平沢唯です!!さ、先程は御挨拶できなくても、申し訳・・」
律「いーって!そんな固くなるなって。私はそういうの嫌いなんだ。もっと気軽に・・・」
梓「ダメです!!!律様はもっと琴吹家の三女としての自覚をもってください!」
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 02:54:14.60 ID:Uz7rjUwx0
律「うっ・・・」
唯「・・・ふふ」
律「ん?」
唯「・・・はっ!!す、すみません!!つ、つい・・・!!」
梓「な、・・・わ、笑ったですか?」
唯「い、いえ!けしてそんな!!!」
梓「私はきっちりこの耳で聞きました!唯さん何を笑ってるですか!?使用人として・・・」
律「ぷっ・・・あははは!」
梓・唯「!?」
律「ひー、おもしれー!お前らいいコンビになるぜ」
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 02:55:50.63 ID:Uz7rjUwx0
梓「コ、コンビって・・・!」
律「朝からいいもん見せてもらったわ。んじゃ飯でも食ってくるかな」
梓「飯じゃなくて、朝食です!!!」
律「そうそ、朝食!・・・じゃーな、唯!」
唯「は、はい!!」
唯「(あれが律様か・・・。いい人そうだなー)」
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 02:58:29.33 ID:Uz7rjUwx0
朝食後
梓「・・・ちゃんとやってるですか?」
唯「ひっ!!」
梓「何びっくりしてるですか」
唯「だ、だって急に・・・」
梓「掃除は終わりました?」
唯「は、はい!!」
梓「・・・・うん、合格です」
唯「よ、よかった!何度も確認したからね!」
梓「そうですか・・・、で、あちらの手すりは?」
唯「え?」
梓「・・・」
唯「・・・」
梓「朝食の時間、結構ありましたけど、唯さんはこの手すりにずっと時間をかけていたのですか?」
唯「・・・はい」
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 03:01:28.29 ID:Uz7rjUwx0
梓「もう!!!!いいですか、琴吹家のお屋敷はとっても広いんですよ!?手すりだって1個や2個じゃないんです!!」
唯「うっ・・・」
梓「そりゃ最初だから、仕方なく時間がかかってしまうこともあるかもしれ・・・ふう」
唯「・・・」
梓「早く掃除しちゃいましょ」
唯「え?」
梓「説教しても時間の無駄です。旦那さまがお出かけまでに綺麗にしちゃいましょう」
唯「梓ちゃんも手伝ってくれるの?」
梓「今日だけですよ・・・」
唯「ありがとう!!すごく助かる!!」
梓「わかりましたから・・・はぁ」
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 03:04:27.26 ID:Uz7rjUwx0
・・・・
梓「っと、こんなもんですかね」
唯「うおおお綺麗!!」
梓「いいですか。私達の掃除というのは汚いところを綺麗にするのではなく
綺麗なところをもっと綺麗にすることです」
唯「はい」
梓「汚れなんてあったら許しませんよ。いいですね?」
唯「はい!」
梓「・・・じゃあそろそろ旦那さま達の御出勤の時間ですね。外に出ますよ」
唯「いよいよなんだね・・・」
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 03:05:43.82 ID:Uz7rjUwx0
梓「昨日教えたことをきちんとやれば大丈夫です。そんな緊張しないで」
唯「ハ、ハイ」
梓「あ、来た・・・!」
唯「!!」
ぞろぞろ
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 03:07:56.61 ID:Uz7rjUwx0
梓「いってらっしゃいませ、旦那さま」
唯「い、いってらっしゃいませ旦那さま」
旦那「うむ。お・・・新しい使用人か?」
梓「はい。今日からこちらで使用人をやらせて頂いてる・・・」
唯「平沢唯です!!!よろしくお願いします!!!」
旦那「はっはっは、元気がある娘だ」
梓「ゆ、唯さん!!」
唯「はっ!!す、すみません!!」
旦那「構わん。朝から元気な事はいいことだ」
澪「あー煩い」
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 03:09:20.17 ID:/uatvNh40
澪わろた58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 03:09:40.60 ID:gRLB4BLL0
澪様きたああああああああああああ 60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 03:10:26.75 ID:Uz7rjUwx0
唯・梓「!」
澪「朝から煩いんだが」
梓「も、申し訳ありません!」
澪「・・・なんだ、またゴミが増えたのか」
梓「こ、こちら今日から新しく入った使用人の・・・」
澪「誰が紹介しろと言った。使用人の名前など覚える気もない」
梓「・・・失礼しました」
唯「・・・」
紬「まー!新しい使用人ですって!?」
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 03:12:32.50 ID:Uz7rjUwx0
梓「紬さま!」
紬「まー可愛いじゃない!私、ここの長女の紬よ!仲良くしましょう!?ね!?」
唯「え、あ!!わ、私は平沢唯と申します!!よ、よろしくお願いします!!」
紬「唯ね!ふふふ、覚えたわ!」
澪「・・・ちっ」
律「おー、朝から賑やかだねー」
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 03:14:17.78 ID:Uz7rjUwx0
紬「りっちゃーん!新しい使用人だってー!」
律「知ってる知ってる。朝会ったもんな、な?」
唯「は、はい!」
紬「えー!?ずるーい!普通は長女の私が一番先に・・・」
梓「紬様、律様!早く行かないと学校に遅れてしまいますよ!!」
紬「あ、そうだったわ!・・・じゃあね、唯」
律「がんばれよー!」
唯「い、いってらっしゃいませ!紬様、律様!!」
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 03:15:54.41 ID:Uz7rjUwx0
唯「・・・・」
梓「気にしちゃダメですよ?」
唯「え?」
梓「澪様のこと・・・」
唯「あ、ああ!・・紬様と律様の迫力ですっかり忘れてた・・・」
梓「・・・」
唯「はは・・」
梓「もう・・・。さ、掃除行きますよ!」
唯「うん!!」
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 03:19:41.42 ID:Uz7rjUwx0
・・・
梓「1階の方の掃除は終わったみたいですね」
婆「では2階の掃除に取り掛かりなさい」
皆「はい!!」
婆「あ、唯はまだダメですよ」
唯「え?」
婆「唯はまだ2階の掃除をできるほど経験を積んでません。2階は琴吹家方々の寝室となっておりますからね」
唯「そうなんですか・・・」
婆「あなたは使用人宿舎の掃除でもしていなさい」
唯「はい!」
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 03:23:46.13 ID:Uz7rjUwx0
使用人宿舎)
唯「ふう・・・使用人宿舎といってもかなり広いな・・・。そりゃあんだけ使用人がいて、
それで一人部屋だもんね。当たり前か・・・」
唯「この広さを自分一人で掃除するのかな。1日じゃ絶対無理だよ・・・。
それともこれが当たり前なの?・・・あたしやってけるかな」
唯「って!!何弱気になってるの私!!私が働かなくて誰が働くの!
憂にもちゃんと進学させてあげたいのに!こんな弱きじゃダメ!!」
唯「うん、まだ一日目じゃん!あたし頑張れ!!!できるできる!!」
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 03:34:52.18 ID:Uz7rjUwx0
・・・・
梓「終わったですか?」
唯「ひっ!!」
梓「そんな驚かなくたっていいじゃないですか・・・」
唯「だ、だっていきなり・・・!」
梓「さっきもそれ聞きました。・・・で、掃除は終わりましたか?」
唯「・・・」
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 03:37:51.77 ID:Uz7rjUwx0
梓「うん、一人でやったとしてはなかなかじゃないですか?」
唯「へ?」
梓「何間抜けな声出してるですか。・・・そろそろ宿舎の掃除当番も来るはずです」
唯「応援がくるの!?」
梓「お、応援?・・・あ、もしかしてこの宿舎を一人でやると思ったですか?」
唯「う、うん」
梓「ふふ、バカですねー。こんな広いのに一人でできるわけないでしょう」
唯「で、ですよねー」
梓「じゃあ私は戻りますから、引き続き頑張ってくださいね」
唯「はい!!」
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 03:39:41.17 ID:Uz7rjUwx0
・・・・
梓「そろそろ紬様たちが帰ってくる時間ですね」
唯「お迎えに行く?」
梓「いえ、帰宅時のご挨拶は立派なものではありません」
唯「立派とは・・・」
梓「だから使用人が皆でご挨拶はしないということです」
唯「ほお・・・」
梓「何か催し物などがあれば別ですが、何もない時は使用人の一人や二人ぐらいで出迎えに行くものです」
唯「そうなんだ・・・」
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 03:42:19.70 ID:NfN4biXKO
なんか結構楽しそうだな、このアニメ 81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 03:43:14.90 ID:Uz7rjUwx0
梓「ただ廊下などですれ違った御挨拶するのは当たり前ですよ」
唯「そ、そっか・・・」
梓「もう・・・。では行って来ますね」
唯「え、梓ちゃん行っちゃうの?」
梓「はい。私は澪様の専属使用人ですから」
唯「せ、専属使用人?」
梓「ようするに、その人専用の使用人です」
唯「す、すごい・・・の?」
梓「ま、まあちょっと務めた者ではなれないと思いますよ」
唯「ほう・・・」
梓「専属使用人でも使用人は使用人です。偉いもないですよ」
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 03:44:55.50 ID:Uz7rjUwx0
唯「そんなことないよ!!梓ちゃんは偉い!!多分!!」
梓「た、多分って・・・」
唯「でも大変そうだね」
梓「そうですね。まぁ澪様ってだけで大変・・・って何言わせるですか!もう!行ってくるです!」
唯「(梓ちゃんが勝手に言っただけじゃ・・・)いってらっしゃーい」
84 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 03:46:06.22 ID:NfN4biXKO
夜な夜な澪様の部屋に呼び出され、夜のお世話をさせられちゃうあずにゃん……か 85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 03:48:07.49 ID:Uz7rjUwx0
・・・・
梓「おかえりなさいませ、澪様」
澪「・・・」
梓「これからのご予定は?」
澪「煩い」
梓「失礼しました」
澪「・・・」
梓「・・・」
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 03:49:10.46 ID:Uz7rjUwx0
澪「なあ、あいつ、何日で辞めると思う?」
梓「はい?」
澪「あの新しく入ったゴミだよ」
梓「・・・」
澪「私は1か月もたたないうちに辞めると思うなー」
梓「・・・」
澪「おい、なんか言えよ」
梓「申し訳ございません」
澪「ちっ」
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 03:52:00.48 ID:/uatvNh40
澪様ぱねぇっす 89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 03:52:01.53 ID:Uz7rjUwx0
澪部屋
梓「お鞄、ここに置いておきますね」
澪「・・・」
梓「他に用はございますか?」
澪「見て分からないのか?あるそうに見えるか?」
梓「・・・申し訳ありませんでした。では失礼します」
ガチャッ
バタン
梓「・・・ふう」
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 03:54:40.59 ID:Uz7rjUwx0
・・・
唯「あ、梓ちゃん!戻ってきた!」
純「お、梓ー」
梓「ただいま・・ってえ、なんで2人が・・・」
純「一緒にいたら悪いかよー」
唯「さっき仲良くなったの」
純「だ、誰が仲良く・・・!?」
唯「え、違うの・・・?」
純「う・・・!べ、別に違うわけじゃ・・・」
唯「よかった~」にこー
純「な、何・・・」
100 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 03:58:09.66 ID:Uz7rjUwx0
梓「もう、2人で遊んでないで・・・」
純「休憩の時間だもん。あ、そうそう唯!」
唯「なに?」
純「私の事は純さまって呼びなさい」
唯「え?」
梓「なっ!?」
純「いい、あんたは私の後輩なの。年齢は上でも年下なの。わかる?」
唯「う、うん・・・」
純「はい、じゃあさっそく呼んでみて」
唯「じゅ、純さ・・・」
梓「調子にのるな!」ゴツン
純「い、いたー!」
103 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 04:01:03.80 ID:Uz7rjUwx0
梓「もう。純だって、唯とあんまり変わらないじゃない」
純「かわるわよ!3か月私の方が先にここで働いてるの!立派な先輩じゃない!」
梓「じゅーんー・・・」
純「うっ」
梓「・・・・」じーっ
純「・・・わ、わかったわよ!唯、私のことは純って呼んでいいから」
唯「い、いいの?」
純「この私がいいって言ってるんだからいいの!」
唯「わーい!じゃあ・・・純ー!!」
純「・・・ははは、変な子ー!」
梓「ふふふ」
唯「え、な、なんで笑ってるの!?ただ呼んだだけなのに・・・!」あせあせ
107 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 04:06:51.98 ID:Uz7rjUwx0
数日後
婆「唯、梓。来なさい」
唯・梓「はい」
婆「今日から唯を旦那さま達の食事を手伝いさせます」
唯「え」
婆「なんですか、まだ早かったですか?」
唯「い、いえ!嬉しいです!!」
梓「喜んでどうするですか・・・」
唯「あ・・・」
109 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 04:07:34.11 ID:Uz7rjUwx0
婆「・・・。食事は人間にとって大事な時間です。食事の時に気分を害すなんてもってのほか。
いいですか唯。失敗は許されませんよ」
唯「は、はい!!」
婆「よろしい。ならば梓と一緒に行きなさい」
唯「はい!」
梓「失礼します」
バタン
婆「・・・大丈夫かしらねぇ・・・」
111 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 04:10:25.29 ID:Uz7rjUwx0
食堂
旦那「では、皆揃ったな。・・・頂きます」
皆「いただきます!」
律「おーー!今日は肉がいっぱいあるぜええ!」
紬「よかったわねー!いっぱい食べましょうね!」
律「おー!」
澪「・・・いらない」
梓「どうしました澪様」
澪「料理長呼んできて」
梓「・・・」
澪「料理長呼んできてって言ってるだろう!?」ダンッ
律「おい、澪ー。食事中だぞー」
112 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 04:12:10.88 ID:Uz7rjUwx0
澪「煩い!黙れ!・・・ちっ、使えない使用人だ。ならば私が直接行く」
梓「澪さま!なりません!!」
澪「うるさ・・・」
唯「きゃあ!!」
澪「うわっ!!!」
ばしゃん
一同「・・・・・・・・・・・・・」
梓「・・・だ、大丈夫ですか澪様!!!」
澪「つ、冷たい・・・」
114 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 04:14:28.32 ID:Uz7rjUwx0
唯「あ、あ、・・・!!!も、申し訳ございません!!」
梓「ふ、ふくもの持ってきて!!」
唯「は、はい!!」
澪「待ちなさいよ!!!」
唯「!!」
澪「ちょっと、この服いくらすると思ってるんだ!?外国から取り寄せたものなんだぞ!?」
唯「も、申し訳・・・」
澪「謝ってすむと思ってるのか!?お前如きが一生かかっても買えない代物だぞ!?」
唯「うっ・・・」
律「おーい、澪!!」
116 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 04:17:10.30 ID:Uz7rjUwx0
澪「煩い、黙れ!!」
律「これはお前が悪いぞ。お前が急に扉の前に飛び出すから」
澪「私は悪くない!!」
律「誰がどう見てもお前が悪い。・・・唯、ごめんな」
澪「なんでこんなゴミの味方をするんだ!!」
律「味方とかじゃないよ。あと、使用人をゴミ扱いするのをやめろと何度言ったら・・・」
澪「煩い!!!」ダッ
梓「澪さま!!」ダッ
律「あーあー・・・行っちゃった」
118 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 04:19:28.25 ID:Uz7rjUwx0
唯「ど、どうしよう私・・・」
律「気にするな。あいつはいつもああなんだ」
唯「でも・・・」
紬「そうよー。唯は悪くないわよ」
唯「・・・・」
律「さー、飯だ飯!・・・おい唯、これのおかわり!」
唯「え?」
律「だーかーら、おかわり!」
唯「は、はい!!!」
119 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 04:23:53.68 ID:wv4sVQt6P
澪様に罵られたい 120 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 04:28:16.78 ID:Uz7rjUwx0
澪部屋)
梓「み、澪様・・・!」
澪「なんで着いて来るんだよ!!!!」
梓「しょ、食事がまだ・・・」
澪「煩い!!!」ガッ
梓「きゃっ!!」
澪「もうなんなんだよ!!私は悪くないじゃないか!!あいつが急に入ってきたのが悪、い、ん、だ!!」
ゲシッゲシッゲシ
梓「うっ・・・げほげほげほ!!!」
澪「あああああイライラするううう!!!!!」
梓「げほげほげほげほっ!!!!」
121 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 04:29:35.22 ID:Uz7rjUwx0
唯「戻ってこないね、梓ちゃん・・・」
純「・・・。さ、早く片付けるわよ」
唯「う、うん・・・」
122 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 04:31:37.30 ID:wv4sVQt6P
やっぱさっきのなしで 123 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 04:31:41.22 ID:Uz7rjUwx0
使用人宿舎
唯「ふーいいお風呂だったー」
梓「・・・」とぼとぼ
唯「あ、梓ちゃん!!!!」
梓「ゆ、唯さん」
唯「よかったー!澪様を追いかけていったっきり戻ってこないから心配して・・・」
梓「寝ます」
唯「え?」
梓「疲れました。・・・おやすみなさい」
唯「あ、梓ちゃん!?」
純「・・・ほっときなさいよ」
127 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 04:33:14.52 ID:Uz7rjUwx0
唯「じゅ、純ちゃん?」
純「使用人を10年も続けてるとあんなになっちゃうのかなー」
唯「あんなって?」
純「聞きたい?」
唯「え、あ、うん・・・」
純「じゃあ私の部屋に来なさい」
唯「うん・・・」
128 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 04:34:08.47 ID:wv4sVQt6P
ゴクリ 129 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 04:35:43.29 ID:Uz7rjUwx0
純部屋
純「澪様には気をつけなさい」
唯「え?」
純「きっと梓にも言われたと思うけど」
唯「う、うん言われたよ・・・」
純「でしょうね。・・・澪様は病気なのよ」
唯「びょ、病気?」
純「そう。心の」
唯「心?」
純「もちろん確かな情報じゃないわ。けどあれはどうみても病気よ」
131 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 04:37:24.71 ID:KUoNo9KcO
・
・ 丶|/
: / ̄ ̄ ̄\
: / 丶
ゴ / \ / |
ク | (●)(●)||||
リ | / ̄⌒ ̄丶 |
||i二二丶| U|
| \___ノ |
|U | 132 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 04:38:59.74 ID:Uz7rjUwx0
唯「じゃ、じゃあ診てもらわなくちゃ・・・」
純「馬鹿ねぇ。あんた、ここがどこだか知ってるの?」
唯「純ちゃんの部屋だけど・・・」
純「ちがーーう!あんたが使えてるのはどこ!?」
唯「こ、琴吹家です・・・!」
純「そう、琴吹家よ。日本でも5本の指には入るかなりのお金持ちの家よ」
唯「う、うん」
純「そんな家に心の病気を持った娘がいるだなんて・・・、家としては知られたくないの」
唯「そんな・・・」
133 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 04:39:40.02 ID:wv4sVQt6P
澪たん……(´;ω;`) 134 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 04:42:56.24 ID:Uz7rjUwx0
純「まぁもちろん今話したことは推測だから、確定情報ではないわ」
唯「・・・」
純「けど、きっとあの性格じゃ病気以前に問題あるわね」
唯「・・・」
純「あ、そうだ。梓から、旦那様に気をつけろ・・・って言われてる?」
唯「え?い、言われてないけど」
純「そう。じゃあ気をつけなさい」
136 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 04:45:30.10 ID:Uz7rjUwx0
純「旦那様は表はいい人だけど・・・裏ではとてつもないことをやってるみたいよ」
唯「と、とてつもないって・・・?」
純「さあ!それは知らない!」
唯「がくっ」
純「もう話すことはないから、帰っていいよ」
唯「・・・う、うん。じゃあおやすみ」
純「おやすみ、また明日ね!」
バタン
純「・・・梓の部屋行こう」
140 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 04:47:26.16 ID:Uz7rjUwx0
次の日・食堂
唯「み、澪様・・・」
澪「・・・」
唯「き、昨日は本当に申し訳ございませんでした!!」
梓「ちょっと、何してるですか!!」
唯「え?あ、謝ってる・・・え、あちょっと!」
梓「こっち来てください!!」
142 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 04:49:04.95 ID:Uz7rjUwx0
梓「お願いですから、これ以上澪様を怒らせるのやめてください!」
唯「お、怒らせる?」
梓「昨日のことはもう済んだでしょう?だったらいいんです」
唯「す、すんでなんか!」
梓「すんでます!!」
唯「あ、梓ちゃん・・・」
梓「いいですか・・・、使用人の唯さんが気軽に話しかけられる相手じゃないのですよ・・・」
143 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 04:50:36.76 ID:Uz7rjUwx0
唯「で、でも!!」
梓「・・・、昨日のことは私が謝っておきますから、唯さんは口出ししないでください」
唯「そしたら梓ちゃんが・・・」
梓「いいですね!?」
唯「・・・」
145 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 04:54:01.46 ID:Uz7rjUwx0
使用人宿舎
婆「みなさん、今月末に琴吹家主催でダンスパーティーを行います」
婆「旦那さま、そして娘様方々の出席も決まりました。
忙しくなると思いますが、準備の方よろしくお願いしますよ」
一同「はい!」
婆「では解散」
・・・・
唯「ダンスパーティー?」
梓「そうです。毎年何回か、琴吹家主催でやるんです」
唯「へー・・・すごそうだね」
梓「すごいですよ、かなり。その分、準備もかなり大変です」
唯「覚悟してます」
梓「ふふ、その調子です」
唯「(よかった、笑ってくれた・・・)」
147 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 04:58:15.09 ID:Uz7rjUwx0
ダンスパーティー当日
使用人「唯!!こっち手伝って!!」
唯「はい!!」
使用人「唯、これ運んでーー!!」
唯「はーーーい!!」
使用人「唯、これ片づけて!!!!」
唯「はいはいー!!!」
唯「(な、なにこれ、忙しすぎて死にそうなんだけど・・・!)」
律「おーやってるな?」
唯「律さま!」
律「ダンスパーティーなんてかったるくて本当は出席したくないんだけどよー」
唯「そうなのですか?」
律「うん。別に私達が踊るわけでもねーしな。ただ踊ってる奴を見てるだけ」
唯「それでも楽しそうです」
律「そうかー?」
149 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 05:01:47.24 ID:Uz7rjUwx0
唯「はい!だって私、ダンスパーティーなんて見たことないですもん!きっと仕事しながらでしょうが
隙を狙って見させていただきます!!」
律「ははは、仕事の手が止まって、婆に怒られないようにしろよなー」
唯「うっ・・・気をつけます!」
使用人「ちょっと唯-!!どこいったのー!?」
唯「あ、は、はーーい!!」
律「あらら、悪いね、忙しいとこ話しかけちゃって」
唯「い、いえ!!では、失礼します!!」
律「がんばれよー。・・・使用人も太変だなー毎年毎年」
152 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 05:07:06.15 ID:Uz7rjUwx0
ダンスパーティー
旦那「えー、皆さまに楽しんで頂けるよう、最高級の音楽団を用意させました」
客「おー」
旦那「では、最高の夜をお過ごしください」
パチパチパチパチ
紬「さすがお父様ね。音楽の本場から連れてくるなんて」
律「そうかー?音楽に本場もクソもあるかよ」
紬「クソはないわよ!」
律「あーはいはい」
・・・
唯「わーすごい綺麗な音ー!やっぱ本場は違うなー!」
純「本場って・・・。あんた分かるの?」
唯「わかんない」
純「がくっ」
唯「わかんないけど、きっとすごいよ!うん!すごい!!!」
純「あ、っそ・・」
156 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 05:13:02.93 ID:Uz7rjUwx0
梓「澪様、そろそろパーティーの方に顔を出さないと皆心配しますよ」
澪「・・・」
梓「澪様」
澪「あのさ、前から思ってたんだけど、お前調子にのってないか?」
梓「・・・」
澪「使用人を10年やろうが、私の使用人をやろうが、お前は使用人。使用人じゃないか」
梓「分かっております・・・」
澪「分かってない。使用人は私達に気軽に話しかけちゃいけないのだろ?」
梓「・・・」
澪「ちょっと黙ってたらこれだ。私は特別だから、何でも言っていいって思ってるんだろ?」
梓「そ、そんなこと・・・!!」
澪「口答えするな!!!!」
157 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 05:15:31.94 ID:Uz7rjUwx0
梓「・・・・っ」
澪「使用人が口答えするのか?」
梓「しません・・・」
澪「使用人が命令するか?」
梓「しません」
澪「使用人は私の言うことを聞くか?」
梓「聞きます」
澪「なら出てけ」
梓「・・・失礼しました」
バタン
梓「(説得できなかった。・・・怒られるかな)」
158 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 05:18:30.66 ID:Uz7rjUwx0
会場
婆「澪様が来られないですって!?」
梓「・・・すみません」
婆「・・・いえ。仕方ないです、一度言ったら聞かない方ですからね。旦那さまに話してきます」
梓「はい・・・」
・・・
唯「あー!梓ちゃん!」
梓「あ、」
唯「もー大変だよー!!人が何人いても足りないって感じ!!」
梓「・・・」
唯「?あ、あず・・」
梓「手伝います!!!」
唯「え?!」
梓「この料理運べばいいのですね!私がもってくです!!」
唯「え、ちょっと!梓ちゃんは澪ちゃんの・・・あーあ、行っちゃった・・・」
162 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 05:23:30.45 ID:Uz7rjUwx0
使用人宿舎
婆「本日はみなさんお疲れさまでした。とてもいいダンスパーティーになったと旦那様もおっしゃっておりました。
これも皆さんのおかげです」
婆「今日はゆっくり休んでください。解散」
一同「お疲れさまでした!」
婆「唯、来なさい」
唯「は、はい!!」
婆「どうでした、ダンスパーティーは?」
唯「え、あ、た、楽しかったです」
婆「楽しかった?仕事がそんなに楽しかったですか?」
唯「(あ、そっちか!)い、いえ・・・仕事は大変だったけど、けど、楽しかったです!
私、ダンスパーティーなんて産まれてから一度も見たことなかったので」
婆「そうですか。・・・このお屋敷にいるかぎり、これからも大きな催しが開催されるでしょう
太変ですが・・・覚悟はできてますか?」
唯「はい!もちろんです!」
婆「よろしい。では寝なさい」
唯「はい!おやすみなさい!!」
163 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 05:27:59.78 ID:Uz7rjUwx0
律「あ、澪・・・」
澪「ちっ」
律「おいどうしてパーティーに来なかったんだよ!?父さんも困ってたぞ!」
澪「別に私が行ったって行かなくたって変わらないだろう!」
律「そういう問題じゃねぇだろ!なら私だって参加したくなかったわ!」
澪「なら参加しなけりゃいいだろ!」
律「お前は琴吹家の娘なんだぞ!?それぐらい自覚しろよ!!!」
澪「・・・っ!!べ、別にここに来たくて来たんじゃない!!」
律「それは私だって一緒だ!!!!」
165 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 05:32:38.59 ID:Uz7rjUwx0
梓「み、澪様!?と律様!!な、何を言い争いに・・・!!」
律「梓からも言ってやってくれよ!!もっと琴吹家の娘として自覚をもてって!」
梓「・・・」
澪「近寄るな、ゴミが・・・寝る」
律「お、おい、み・・」
梓「おやすみなさいませ、澪様」
バタン
律「・・・ごめんな、梓」
梓「律様が謝ることではないですよ」
律「・・・はぁ。いいよな、あいつは自分勝手できて」
梓「え?」
律「なんでもない。私も寝る。梓も早く寝ろ。おやすみ」
梓「お、おやすみなさいませ律様!!」
168 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 05:42:50.14 ID:Uz7rjUwx0
純部屋
純「あーそういえば知ってる?」
唯「え?」
純「紬様、澪様、律様って本当の御兄弟じゃないのよ」
唯「ふーん・・・・ってえええ!?」
純「いいねー、その初々しい反応」
唯「そ、それどういうこと!?」
純「ようするに琴吹家の名前が欲しいのよ」
唯「な、名前・・・?」
純「そう。琴吹家の長女、紬様は旦那さまと血は繋がってるわ。けど澪様、律様は養子としてここに来たの。
澪様の旧姓は秋山。律様は田井中。琴吹家には及ばないけど、それでもかなりの有名な家柄よ」
唯「う、うん」
純「あの2人は犠牲になったの」
169 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 05:45:29.01 ID:g2HQZxX90
犠牲になったのだ・・・ 170 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 05:47:41.47 ID:9m5SABvZO
澪と律は犠牲になったのだ・・・ 171 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 05:57:00.67 ID:Uz7rjUwx0
唯「犠牲・・・?」
純「どちらの家もかなりの資産家だけど琴吹家は越えられない。いや、越えようとはしてないかもしれない。
けど同等の立場にいたいと思っているはず。だから2人を養子によこしたの」
唯「うん・・・?」
純「娘を養子として琴吹家に入れたら、繋がりができるわ。琴吹家の後ろ盾が欲しかったのよ。
あの琴吹家の養子になれたとあっては、他のところからも援助されるもの」
唯「・・・」
純「そして女は家を継げないから。
だから澪様と律様は利用されてるの」
唯「なんか可哀想・・・」
純「そうかしらねー・・・、生きていく分には困らない・・・いや、もう充分ってほどお金はあるし、なんだかんだで幸せなんじゃない?」
唯「そうなのかな・・・」
純「私から見れば十分すぎるよ」
唯「でも自分の家族と過ごしたいよ・・・」
173 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 06:03:00.17 ID:Uz7rjUwx0
純「まぁそれもそうだけど・・・。まぁお金持ちの親族としたら、自分の娘より自分たちの名前を来世まで息継ぐ方が大事なんじゃない?」
唯「そうなのかな・・・」
純「貧乏に産まれても大変だけど、金持ちに産まれても大変ってことよ」
唯「うん・・・」
純「だから私は働くの」
唯「え?」
純「ここ、お給金だけはいいでしょ?だからいっぱい貯めてから、結婚するの」
唯「結婚・・・・」
純「そう、恋愛して結婚するの。見合い結婚なんて嫌よ」
唯「結婚か・・・」
純「うん!あー早く私の殿方現れないかなー」
174 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 06:07:35.19 ID:Uz7rjUwx0
数ヵ月後
梓「唯さんもここに来てから、ずいぶん経ちましたね!」
唯「ほんとだ!・・・まぁ相変わらず失敗は多いけどね」
梓「自分で言ってどうするですか・・」
ブォン・・・キキーッ
梓「ん?玄関の方から車の音が・・・。誰かしら?」
唯「お客様かな?」
梓「見てきますね」
唯「はーい」
玄関先
和「あら、久しぶりじゃない、梓」
梓「の、和様!!」
和「澪、いる?」
176 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 06:14:32.56 ID:Uz7rjUwx0
梓「は、はい!お部屋の方にいらっしゃるかと・・、と、とにかくお入りください」
和「ありがとう」
バタン
唯「(あ、お客様だ)いらっしゃいませ」
和「あら、知らない顔ね。新しく入った使用人かしら?」
唯「はい。4月からここで使用人をさせて頂いております、平沢唯と申します」
和「唯ね。よろしく。私は真鍋 和よ。苗字は違っても、私は澪の姉よ」
唯「へー・・・えええええええ!?お姉さまですか!?!?」
梓「こ、声が大きいです!!」
唯「はっ!し、失礼しました!!」
和「ふふ、構わないわ。私も澪と同じで、真鍋家に養子に出されてるの」
177 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 06:18:52.41 ID:xWnddUnJO
秋山家あざといな 178 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 06:19:51.27 ID:Uz7rjUwx0
唯「ほー・・・」
和「似てないでしょ?母が違うのよ」
唯「ふ、複雑なんですね・・・」
梓「ゆ、唯さん!」
和「ふふ、面白いのね」
唯「よ、よく言われます」
和「血は繋がってないけど、あなたの言う通り、複雑な環境で過ごしてきたからね。
だから離れ離れになった今でもたまに会ってるの。まぁ澪が自分から会いにくるようなことはないんだけど」
唯「2人は仲が良いのですか?」
梓「唯さん!質問は・・・!!」
和「構わないわ、私はそういう使用人の心得だっけ?そういう堅苦しいの嫌いなの。
・・・で、そうねぇ。仲が良いと言えばいいかしら?周りはどんなふうに見るかは知らないけど。
けど小さい頃、ほんの少しの間だけど、一緒に支え合って過ごしたから、見えない絆はあると思ってる」
唯「そうなんですか・・・」
梓「もう、和様!喋りすぎですよ!さ、行きましょう」
和「ふふ、あなたと話せて楽しかったわ。またゆっくり話しましょうね」
唯「は、はい!」
179 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 06:22:52.17 ID:Uz7rjUwx0
唯「(似てない・・・、顔もだけど、・・・中身が)」
・・・
トントントン
梓「澪様、お客様です」
澪「・・・」
和「はぁ・・・、澪、入ってもいいかしら?」
澪「・・・入れ」
梓「・・・・」
和「たく、澪ったら。ごめんなさいね、梓」
梓「い、いえ!そ、それでは私は失礼します!」
和「ええ、また」
梓「ごゆっくり・・・」
バタン
梓「(私はいつになったら澪様に信用してもらえるのかな・・・)」
183 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 06:29:37.31 ID:Uz7rjUwx0
和「・・・また痩せたんじゃないの?」
澪「そんなことない」
和「ご飯はちゃんと食べてるの?」
澪「食べてる」
和「ふーん。で、どうなの?元気にやってる?」
澪「元気も何もあるかよ・・・こんなとこ」
和「もーまだそんなこと言ってるの?いい加減諦めなさいよ」
澪「・・・」
和「あーと、あんたも使用人いじめもいい加減にしなさいよね」
澪「いじめてなんかない」
和「いじめてないとしても使用人に少しは気を使ってやりなさい」
澪「使用人に気を使うだと?ふふ、面白いことを言うんだな」
和「使用人も人間よ。あんたと同じね。・・・梓、可哀想じゃない」
澪「使用人に可哀想もあるか。使用人は使用人らしくいれば問題ないはずだ。なぜなら使用人だからな」
和「はぁ・・・、あんたはいつからそんな性格になったのかしらねぇ」
185 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 06:33:20.29 ID:Uz7rjUwx0
唯「和様っていい人だねー!」
梓「もう、和様がいくらお優しいからって調子にのっちゃダメですよ!!」
唯「べ、別に調子にのってなんか・・・」
梓「和様だったから良かったものの、澪様だったら・・・あ、和様!」
和「今日はありがとう。失礼するわ」
梓「も、もうですか?」
和「ええ。最近あっちでも忙しくてね。本当はもっと説教してやりたいのだけど・・・
また今度にするわ」
梓「そうですか・・・。お気をつけて!」
和「ええ、またね。・・・あと唯もね」
唯「は、はい!お気をつけて・・!!」
186 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 06:40:42.02 ID:Uz7rjUwx0
澪「あー煩い奴だ、ほんと・・・」
澪「けど・・・」
澪「久々にちゃんと人と話したな・・・」
数日後
梓「ゲホゲホッ・・・うーっ」
唯「うわー熱があるねー。今日はお休みだね」
婆「そうしなさい。ゆっくり休むのですよ」
梓「け、けど澪様のお世話が・・・ゲホゲホ!!」
婆「そんな体調でお世話なんかできませんよ。けど困りましたね・・・。そうだ、
唯、あなたが梓のいない間澪さまのお世話をしないさい」
唯「ええええええええ?!」
梓「そ、それはいくらなんでも・・・!!!」
婆「私もちょっと不安なのですが、生憎今日はどの使用人も空いてなくてね。
とにかく梓、あなたはしっかり治すこと。いいですね?」
梓「うっ・・・は、はい。・・・唯さん、澪様のことよろしくです」
唯「う、は、はい」
梓「(大丈夫かな・・・)」
188 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 06:45:36.43 ID:Uz7rjUwx0
唯「どうしよう・・・絶対、無理だ・・・私、無理・・・
って弱気になっちゃダメだよね!!大丈夫!私はやればできる子って言われてたし!うん!」
トントントン
唯「澪様、おはようございます」
ガチャ
唯「おはようございます澪様。今日は梓が風邪のため勝手ながらお休みさせて頂きました。
代わりに私が梓が復帰するまで澪様のお世話を・・・」
澪「すー・・・」
唯「寝てる・・・」
澪「・・・」
唯「寝顔は可愛いんだけどな・・・」
189 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 06:48:21.09 ID:Uz7rjUwx0
澪「ん・・」
唯「あ、やばっ!!」
澪「・・・ん、・・・な、なんだお前!!!なんでゴミが私の部屋に入ってきてるんだ!!誰が許可した!!!おい!!!」
唯「お、落ち着いてください澪様!!」
澪「触るなゴミ!!!!!!!」バシ
唯「うあ!!!」
唯「いたたた・・・」
澪「気色悪い!!お前が入ってきたせいで、カーペットも取り代えなくちゃならんだろうが!」
唯「ひ、ひどい・・・」
澪「酷いだと?!お前如きが私の部屋に入ってきて何を言ってる!さっさと出てけ!!!」
唯「わ、私は梓の代わりとして!!」
249 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 15:13:13.12 ID:Uz7rjUwx0
律「どうした!?」
紬「何騒いで・・・あ!」
唯「律様、紬様・・・!」
澪「こ、こいつが勝手に私の部屋に・・・!」
唯「ち、違います!今日は梓が風邪でお休みなので、私が代わりに澪様の世話を・・・」
澪「言い分けはいらない!!!」
律「落ち着け、澪!!」
紬「そうよ!唯は梓の代わりとして澪ちゃんのお世話に・・・!」
澪「関係ない!!」ダッ
律「あ、おい!!澪!!!」
254 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 15:20:33.77 ID:Uz7rjUwx0
使用人「きゃっ!み、澪様!?ど、どちらにお出かけですか!?」
澪「煩い!!使用人が質問するな!!!」
律「おい!!澪を止めろ!!」
使用人「え!?」
澪「ちっ!」ダッ
律「あ、おい!澪!!!たく、あいつ・・・」
唯「り、律様、ここは私が追いかけますから、律様はどうか食堂の方へ・・・!!」
律「いや、私が・・・」
唯「ダメです!澪様も律様も食事に参加しないと旦那様が心配してしまいますよ」
紬「そうね・・・、この事はお父様には秘密にしておいた方がいいかもしれないし・・・」
律「・・・」
紬「澪ちゃんのためよ、行こう、りっちゃん」
律「・・・唯、頼んだぞ」
唯「お任せください!!」
255 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 15:26:18.83 ID:Uz7rjUwx0
屋敷外
澪「(なんであいつら使用人の味方ばっかするんだ・・・!)」
運転手「・・・どちらにお出かけで・・・って澪様!?」
澪「煩い!!!さっさと車を出せ!!!!」
運転手「え?!け、けど・・・」
澪「私の命令が聞けないのか!?」
運転手「わ、分りました・・・!!!」
唯「澪さまあああ!!」
ブウウウン
唯「はぁはぁ・・・!!い、いっちゃった・・・・!ど、どこに行ったのか、な。と、とにかく追いかけなくちゃ・・・!」
唯「そうだ、あの車を追いかければ・・・!!」
運転手2「はぁ?使用人のお前をだと?」
唯「そうなんです!お願いします!澪様を追いかけなくちゃいけないんです!」
運転手2「だめだめ。使用人のお前を車に乗せることなんてできないよ」
唯「そ、そんな・・・」
256 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 15:31:36.71 ID:Uz7rjUwx0
使用人宿舎
梓「唯さん、うまくやって・・・るわけないよなぁゲホゲホ」
唯「梓ちゃんん!!!」バタン!
梓「キャッ!!・・・え、唯さん!?ゲホゲホ、み、澪様のお世話は!?って何泣いて・・・」
唯「み、澪様が出て行っちゃったの・・・!!」
梓「出て行った・・・?!」
唯「私が悪いの、私が・・・どうしよう、梓ちゃん、うっうううう」
梓「お、落ち着いてください!と、とにかく追いかけなくちゃ・・・」
唯「車で追いかけようと思ったら、使用人は車に乗っちゃいけないって言われて・・・」
梓「澪様は車で出ていかれたのですか?」
唯「うん。だからもう間に合わないかも・・・ぐすっ」
梓「・・・大丈夫です」
唯「え?」
梓「私の予想が当たれば、澪様はあそこにいるはず」
259 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 15:38:08.48 ID:Uz7rjUwx0
唯「え!?ど、どこ行くの、梓ちゃん・・・!」
梓「澪様をお迎えに行くのです・・・!ゲホゲホ」
唯「そ、そんな体じゃ無理だよ!私が・・・」
梓「唯さんじゃ無理です。車は使えません。けど私なら使えます」
唯「そ、そうなの!?」
梓「はい。数年前から車を使う許可を得ています。もちろん仕事で使うだけですが」
屋敷外
梓「車をだしてください!!」
唯「わ、私も行く!!」
梓「ダメです!!使用人二人が朝から外出なんて見つかったら怒られます!」
唯「け、けど梓ちゃんはすごい熱で・・・!」
梓「私なら平気です。心配しないでください。唯さんは澪様が帰ってくるまで、なんとか話を合わせておいてください」
唯「う、うん・・・」
梓「では行ってきますね。車を出してください」
262 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 15:43:55.75 ID:Uz7rjUwx0
梓「ゲホゲホ・・・やっぱ辛いなぁ・・・」
運転手「どちらにお出かけで」
梓「真鍋家へ向かってください」
運転手「真鍋家・・ですか?」
梓「はい。お届けものがありまして・・・」
運転手「左様ですか。わかりました」
梓「(澪様が逃げたから、なんて言えないよね)」
真鍋家屋敷
運転手「着きました」
梓「ありがとうございます」
梓「(・・・私の勘が当たってればいいのだけど)」
263 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 15:48:47.22 ID:Uz7rjUwx0
トントントン
使用人「はい・・・えっと・・・」
梓「おはようございます。私は琴吹家の使用人をやっております、梓と申します。
こちらに澪様はいらっしゃいますか?」
使用人「あ、はい。先ほどお見えになられ、只今和様のお部屋に・・・」
梓「案内して頂けますか?お願いします」
使用人「あ、はい。こちらです・・・」
和部屋
和「・・・呆れた」
澪「私は悪くない!あのゴミが勝手に私の部屋に・・・!!!」
和「だからって屋敷を飛び出してくることないじゃない」
澪「だ、だって・・・」
264 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 15:51:49.08 ID:Uz7rjUwx0
トントン
使用人「和様、お客様です」
和「お客様?こんな時間に・・・?入って」
使用人「はい。・・・どうぞ」
梓「ありがとうございます」
和「梓!?」
澪「!!」
梓「澪様、帰りましょう」
澪「や、やだ!!」
梓「みなさん心配しておりますよ」
澪「あのゴミが悪いんだ・・・!」
梓「悪いのは私です。風邪でお休みを頂いたばっかりに・・・」
和「か、風邪ですって?」
梓「とにかく澪様、帰り・・・ゲホゲホ!!!」
265 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 15:54:37.19 ID:Uz7rjUwx0
和「梓!!大丈夫!?」
梓「ゲホゲホゲホ、だいじょ、う、ぶ・・です・・・」ふらっ
和「梓!!!!し、しっかりしなさい・・・ちょ、ちょっと!誰か!!」
使用人「はい!」
和「この子を外まで連れていってあげて!!それと車の手配を!病院に連れていくわよ!!」
使用人「え!?あ、はい!!」
和「梓、梓、しっかりしなさい!!」
梓「ハァハァ・・・ハァ・・・」
澪「うっ・・・」
266 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 16:00:05.95 ID:Uz7rjUwx0
病院
医者「注射を打っておきました。寝ておけば熱はすぐさがりますよ」
和「そうですか、良かった・・・。お世話になりました」
医者「では・・・」
澪「・・・」
和「・・・よく寝てるわね」
梓「すーすー」
澪「・・・」
和「澪、これは貴方の責任でもあるわよ」
澪「な、なんで!?」
和「あんたが屋敷飛び出してこなければ梓だってこんなことにならなかったはず」
澪「違う!こいつが風邪なんかひいて、違うゴミを私の部屋によこすから・・・ってコイツも言ってたじゃないか!」
和「ほんとにどうしようもないわね・・・。あ、ちょっと席を外すわ」
澪「どこに?」
和「電話よ。すぐ戻るわ」
267 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 16:02:42.26 ID:Uz7rjUwx0
バタン
澪「ど、どうして私が・・・」
梓「ん・・・」
澪「!!」
梓「・・・み、お、さ、ま・・・?」
澪「あ・・」
梓「・・・澪様・・」
澪「あ、あんたのせいで私は・・・!!」
梓「よか、った・・・澪さ、まが無事・・・で・・・」
澪「・・・・」
梓「・・・」すーすー
澪「・・・なんだよ・・・ほんとに私が悪者みたいじゃないか・・・」
269 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 16:07:49.12 ID:Uz7rjUwx0
婆『澪様と梓が!?』
和「ええ。梓は数時間たったら注射のおかげで熱は下がるそうよ。そうね、夕方あたりに迎えをよこしてもらえるかしら?」
婆『それは構いませんが、澪様は・・・』
和「澪は梓の付き添いとしていてもらうわ。あ、旦那様の方は大丈夫?」
婆『ええ、そちらは問題ありません。澪は風邪で部屋にいると言っておきました』
和「そう。まぁ、旦那様に澪なんて・・・ね」
婆『・・・・。律様と紬様が心配しておりました。そう、お伝えください』
和「わかったわ」
婆『それと唯も』
和「唯?ああ、使用人の。・・・そう、わかったわ、言っておく。それじゃ」
和「困ったものね・・・澪にも」
270 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 16:12:19.98 ID:Uz7rjUwx0
バタン
澪「和・・・」
和「琴吹家にも連絡入れといたわ。心配しないで」
澪「・・・」
和「あなたは幸せ者よ?」
澪「え?」
和「こんな体で、あんたを追いかけて来てくれたのよ?」
澪「・・・」
和「なかなかこんな使用人いないわよ。普通だったら婆に任せてしまうところね」
澪「・・・」
和「あんなにこの子に冷たく当っておきながら、梓はこんなにあんたにつくしてるじゃない」
澪「それは・・・」
和「使用人だから?」
澪「・・・」
272 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 16:15:40.89 ID:Uz7rjUwx0
和「もう少し人の気持ちってものを考えてみなさい。梓も人間なのよ」
澪「・・・」
和「いいわね?・・・それじゃあ私は帰るから」
澪「え!?か、帰るのか!?」
和「学校があるもの。あ、澪は梓の付き添いよ」
澪「そ、そんな・・・!」
和「当たり前じゃない。婆にも伝えておいたから、夕方には迎えが来るわ」
澪「・・・」
和「頼んだわよ」
澪「・・・」
和「それじゃあね」
バタン
澪「・・・」
275 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 16:20:03.32 ID:Uz7rjUwx0
梓「んー・・・」
澪「!!」
梓「・・・あれ、ここは・・・って澪様!?」
澪「うるさい、病院だぞ」
梓「びょ、病院・・・?あ・・・そっか、私倒れて・・・」
澪「私の為なんかに・・・」
梓「え?」
澪「私の為なんかにそこまでするか?」
梓「み、澪様?」
澪「倒れてまで私を迎えに来なくてもよかったのに。それにそんな体なら、婆にでも頼んで・・・」
梓「私は澪様の専属使用人ですから」
澪「・・・」
梓「すみません、生意気なこと言ってしまって・・・」
澪「・・・。帰るぞ。下に迎えが来てる」
梓「え?あ、はい!(・・・怒られなかった)」
276 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 16:24:08.54 ID:Uz7rjUwx0
車内
澪「・・・」
梓「・・・」
澪「体は平気か?」
梓「え?」
澪「何でもない・・・」
梓「(あ、あの澪様が・・・私の体を心配して・・・)」
運転手「着きましたよ」
梓「あ、ありがとうございます!」
ガチャ
唯「あ、梓ちゃん!!!!っと、澪様!!」
梓「ただいま」
277 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 16:28:22.05 ID:Uz7rjUwx0
唯「おかえりなさいませ!」
梓「私がいない間、ちゃんと掃除・・あ」ふらっ
澪「おっと・・・」
梓「・・・・あ!す、すみません!!」
澪「・・・構わん」
梓「え!?あ、あ、ありがとうございます・・・!」
唯「(・・・・あの澪様が梓ちゃんを支えた・・・。な、何が起きてるというの・・)」
澪「梓、このカバンを私の部屋に・・・。いや、そこの使用人。このカバンを私の部屋に運んでおけ」
唯「え!?わ、私がですか!?」
澪「なんだ、嫌なのか?」
唯「い、いえ!!」
梓「け、けど・・・」
澪「梓は部屋に戻って寝てろ。・・・いくぞ」
唯「は、はい!!」
梓「(・・・どうしちゃったの、澪さま・・・)」
280 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 16:32:26.28 ID:Uz7rjUwx0
数日後
純「よかった、すっかり元気になったみたいね」
梓「うん。心配してくれてありがとう」
純「だ、誰が心配なんて・・・!」
梓「ふふ。さ・・澪様を起してこなくちゃ!」
純「え?あ、うん、いってらっしゃい」
純「・・・」
純「ねえ」
唯「ん?」
純「最近、梓の機嫌が良すぎて気持ち悪いんだけど」
281 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 16:37:04.33 ID:Uz7rjUwx0
梓「澪様、おはようございます」
澪「・・・」
梓「支度のお手伝いさせて頂きますね」
澪「・・・」
梓「あ、制服にシミが!大変!いつの間についたのですかね・・・。代わりのもの用意しますね」
澪「・・・」
梓「ではこちらを」
澪「?」
澪「(機嫌がいいのか?)」
291 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 17:13:24.87 ID:Uz7rjUwx0
律「むにゃむにゃ・・・」
梓「あ、律様!!」
律「・・・はっ!!ち、違うぞ、これは寝ぼけてトイレの方向を間違ってなど・・・!」
梓「ふふ、・・・さ、行きますよ」
律「・・・え?(怒られないだと・・・?)」
律「(んにしても最近、梓の機嫌がいいよなー・・・。何かあったのか?)」
293 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 17:19:51.69 ID:Uz7rjUwx0
梓「ふふ~ん♪」
唯「なんだか最近機嫌がいいでござるね」
梓「わ!!きゅ、急に話しかけないでくださいよ!」
唯「へへーん、いままでのおかえしだよー」
梓「もう・・・」
唯「最近機嫌いいね。どうしたの?」
梓「そ、そうですか?別にそんなこと」
唯「澪様?」
梓「・・・」
唯「そっかー」
梓「そ、それもありますけど・・・」
唯「うん?」
梓「今はこの仕事が楽しくて仕方ないんです。10年間やってきましたけど、もしかしたら一番楽しい・・・いや、遣り甲斐があるというか
294 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 17:22:21.04 ID:Uz7rjUwx0
唯「やりがいかー」
梓「はい。唯さんは?」
唯「私も!仕事後の食事はおいしいし!」
梓「そっちですか・・・はぁ」
唯「へへ」
婆「梓」
梓「は、はい!」
婆「ちょっと来なさい」
梓「は、はい!」
298 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 17:35:57.48 ID:Uz7rjUwx0
梓「え、縁談ですか!?」
婆「はい」
梓「そ、そんな急に・・・!!!」
婆「あなたは琴吹家で10年も頑張ってきました。そこで旦那様が貴方の努力を認め、縁談の話を持ってこられました」
梓「わ、私は・・・」
婆「女の幸せは結婚ですよ。あなたはよく頑張りました」
梓「私はまだこの仕事を続けたいです・・・!」
婆「いいですか、この縁談を逃せばいつ話がくるかわかりませんよ。それにあなたの家系は琴吹家のお世話係のために産まれてきたみたいなものです。
・・・それに旦那様が言うには、縁談相手は有名な資産家の息子様らしいです」
梓「でも・・・」
婆「貴方がその息子様と結婚したらいい暮らしはもちろん、貴方の家系も琴吹家と離れます。
そう、貴方の子孫はもちろん、これからも琴吹家につかえなくていいのですよ」
梓「・・・」
婆「貴方のためにももちろん、これからの家柄としてもいいことだと思います」
299 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 17:40:32.65 ID:Uz7rjUwx0
婆「・・・まだ気持ちの整理はつかないと思いますが、よく考えておきなさい」
梓「・・・」
婆「もちろん断ることはできませんよ。もし断ったら旦那様にも相手の方にも泥を塗ることになります。
使用人に断られたなんて恥ですからね」
梓「・・・」
婆「ごめんなさいね・・・、何もできなくて」
梓「いえ、婆さんが謝ることはないですよ」
婆「・・・」
梓「失礼します」
300 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 17:40:41.23 ID:/UrmMwD20
まさかの強制退場・・・ 302 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 17:45:27.84 ID:Uz7rjUwx0
梓「・・・はぁ」
純「・・・」
唯「・・・」
純「どうしたのよ梓、最近まで機嫌がいいと思ったら・・・」
唯「う、うん・・・何かあったのかなぁ・・・」
・・・
梓「澪様、お出かけの時間です・・・」
澪「ああ・・・」
梓「・・・」
澪「・・・」
澪「・・・なあ」
梓「はい」
澪「最近元気ないな」
305 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 17:48:28.66 ID:Uz7rjUwx0
梓「え!?あ、す、すみません!!」
澪「・・・」
梓「・・・」
澪「聞いたぞ、縁談だってな」
梓「え、知って・・・」
澪「お父様が嬉しそうに話してた。・・・まぁいいんじゃないのか。お前の身分じゃ充分すぎる相手だろ」
梓「・・・」
澪「嬉しくないのか?」
梓「私はまだこの仕事を続けたいと思ってます」
澪「・・・変わったやつだな」
梓「そ、そうでしょうか?」
澪「女の幸せは結婚だぞ。女が一生仕事続けて生きていけるわけないだろ」
306 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 17:51:36.73 ID:Uz7rjUwx0
梓「そ、それはそうですが・・・」
澪「有り難く受けることだな」
梓「・・・」
・・・
律「ええええ!?梓が結婚だってえええ!?」
紬「そうなのよ。さっきお父様が話してたわ」
律「そ、そんな・・・わ、私は嫌だぞ!!」
紬「けど縁談の相手は有名な資産家の息子さんよ。それなら梓ちゃんは苦労せず一生幸せに暮らせるわ」
律「け、けど・・・。あいつは小さい頃から一緒にいて、使用人だけど、けど妹みたいな存在で・・・」
紬「りっちゃん・・・」
309 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 17:54:56.24 ID:Uz7rjUwx0
使用人宿舎
唯「ええええ!?!?あ、梓ちゃんが結婚!?」
梓「こ、声が大きいです」
唯「ご、ごめん・・・」
梓「・・・」
唯「わ、私は嫌だよ・・・。結婚したら使用人やめちゃうんでしょ?」
梓「そうですね・・・けど、断れないです」
唯「なんで!?」
梓「だって私は使用人。相手は有名な資産家の息子さんですよ。身分が違いすぎます。
そんな方が使用人相手に縁談を断られたなんて世間に知れたら・・・」
唯「・・・」
梓「本当はこの仕事を続けたいのですが、そうもいかないみたいです」
311 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 17:58:59.43 ID:Uz7rjUwx0
唯「・・・。え、縁談の日取りはいつなの?」
梓「今月30日です」
唯「え!?こ、今月!?」
梓「ほんと急ですよね・・・」
唯「急すぎて・・・!だってもう10日もないじゃん!!」
梓「旦那様がやることはよくわかりません、そしていつも急なんですよ」
唯「そ、そんなの酷いよ・・・」
梓「・・・」
唯「うっ・・・やだ、うう・・・」
梓「な、泣かないで下さいよ!!そ、そんな泣かれたら私だって・・・うっううう」
唯「うわああああん、やだあああ、梓ちゃんがいなくなっちゃうなんてやだよおおお!!」
梓「我儘言わないでくださいよ、ううっ」
313 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 18:02:56.22 ID:Uz7rjUwx0
縁談数日前
トントントン
唯「澪様、入ってもよろしいでしょうか」
澪「・・・」
ガチャ
唯「澪様、お話があります」
澪「誰が入っていいって言った」
唯「申し訳ございません・・・。けど・・・」
澪「・・・」
唯「お話・・・いえ、お願いがあります」
澪「使用人のお前がか?」
唯「はい・・・」
315 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 18:11:09.32 ID:Uz7rjUwx0
澪「身分を弁えろ」
唯「梓のことでございます」
澪「梓・・・」
唯「梓に縁談の件は知ってますよね」
澪「・・・ああ」
唯「良い話しだと思います。けど梓は仕事を続けたいと言っています」
澪「・・・」
唯「梓が最近、この仕事が楽しくて仕方ないと言ってました。梓が熱を出して、澪様と一緒に戻ってきたときからです」
澪「・・・・」
唯「何があったのか知りませんが、きっと梓にとっていいことがあったのだと思います」
319 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 18:15:41.68 ID:Uz7rjUwx0
唯「私が来て数カ月しかたってませんが、あんな生き生きとした梓を見たことがありません」
澪「・・・」
唯「お願いです、梓の縁談を断ってください!!!」
澪「なぜ私が・・・」
唯「澪様しかいないからです・・・!」
澪「違う者だって・・・」
唯「梓を止められるのは澪様しかいません。お願いです、お願いです・・・!!!!」
澪「・・・」
唯「うっうう・・・」
322 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 18:22:08.56 ID:Uz7rjUwx0
澪「いいか。お前だって私だって人の縁談を断るなんてできないんだぞ」
唯「それは分ってます」
澪「分ってないから言ってるんだろ」
唯「・・・」
澪「なぜお前は梓の縁談を止めたい」
唯「そ、それは友達だから・・・」
澪「友達・・・か。まぁいい。じゃあお前は友達の幸せを願えんのか?」
唯「え?」
澪「女の幸せは結婚だ。それに梓の身分じゃ今度の縁談相手は充分すぎるほどの金持ちだ。
梓自身、いや、子孫にとってもいい環境になる。琴吹家の雑用のために産まれてきた家系から脱出できるんだ」
唯「それは・・・」
澪「本当に友達と思ってるなら・・・応援してやるんだな」
325 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 18:23:41.22 ID:Uz7rjUwx0
律「・・・」
紬「あら?どうしたのりっちゃん。澪ちゃんの部屋の前で・・・」
律「え!?あ、!!な、なんでもない!!」だっ
紬「?」
・・・
律「つい立ち聞きしちまったけど・・・」
律「あいつがあんな風に思ってるなんてな・・・」
326 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 18:27:54.28 ID:Uz7rjUwx0
縁談当日
梓「婆さん、10年間・・・いえ、婆さんには産まれてきてからずっとお世話になりました。ほんとに・・・ありがとうございました」
婆「そうね。・・・貴方は私の娘みたいなものでした。私こそ本当にありがとうね」
梓「うっ・・・婆さん・・・」
婆「貴方なら平気ですよ。・・・ほら、早く行きなさい」
梓「・・・はい」
婆「・・・」
ガチャ
婆「うっ・・・」ぐす
329 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 18:31:35.25 ID:Uz7rjUwx0
屋敷内廊下
梓「あ・・・」
澪「・・・」
梓「み、澪様!おはようございます!」
澪「ああ」
梓「・・・」
澪「そうか、今日か」
梓「・・・はい、今までお世話になりました」
澪「・・・」
梓「私、澪様の専属使用人になれて本当にうれしかったんです。
辛いことはたくさんありました。けど・・・」
澪「・・・」
梓「私、澪様の事が好きでした。本当はずっともっとお傍にいたかったのですけど・・・無理みたいですね」
330 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 18:33:49.11 ID:Uz7rjUwx0
澪「梓・・・」
梓「ずっとお傍でお世話したかったです・・・。それだけが悔やまれます」
澪「・・・」
梓「あ、ご、ごめんなさい!!私如きが何をしゃべって・・・」
澪「・・・」
梓「それでは・・・澪様お元気で」タッ
澪「・・・梓」
333 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 18:37:52.20 ID:Uz7rjUwx0
唯「ほんとにやるんですか!?」
律「あったりまえだ!私は梓の結婚なんて許さない!!」
唯「け、けど・・・!」
律「きっと父上がやってることはお金に絡んでる。あの人は人の幸せなんて望んだことがない」
唯「え?」
律「お金にしか興味ないんだよ。汚い奴だ、ほんと」
唯「・・・」
律「私はあんな奴のため、お金のために梓を利用されたくないんだ!!」
唯「律様・・・」
律「だから・・・」
唯「分りました!!協力します!!」
※後編へ
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