1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/17(木) 14:03:02.62 ID:IzsZg0BK0
まどか「ねえ、ほむらちゃん……」
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/17(木) 14:04:59.77 ID:IzsZg0BK0
ほむら「なに、まどか」
まどか「本当に、行くの?本当に、一人で、あなたはあんな魔女と戦うつもり
なの?」
今にも泣き出しそうに訊ねてくる、私の友達。
たった一人の、大切な友達。
大丈夫、まどか。
安心して。
今度こそ、私一人でワルプルギスの夜を倒してみせる。
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/17(木) 14:06:54.21 ID:IzsZg0BK0
ほむら「……えぇ。でも心配しないで。あなたはきっと、私が守ってみせるから」
まどか「こんなの、あんまりだよ……。逃げようよ。だって、仕方ないよ、
誰もほむらちゃんのことを恨んだりしないよ」
ほむら「私は、あなたを守ることが、幸せだから」
やっとあなたを、絶望の渦から救い出せる。
だからお願い、まどか。
そんな顔をしないで、笑って。
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/17(木) 14:07:58.16 ID:IzsZg0BK0
まどか「ほむらちゃん……」
ほむら「……まどか。友達になってくれて、ありがとう」
まどか「ほむら、ちゃん……!待って、待ってほむらちゃん!」
私は振り向かない。
今度こそ、倒してみせる。
ワルプルギスの夜を!この手で!
◆
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/17(木) 14:09:43.79 ID:IzsZg0BK0
まどか「ねえねえ、ほむらちゃん、このリボンどうかな?似合ってる?」
ほむら「凄く似合ってる、と思う……」
まどか「ほんと!?」
ほむら「うん……」
まどか「わあ、ありがとう、ほむらちゃん!」
ギュウ
ほむら「鹿目さん……」カアァ
さやか「こーら、そこの二人あたしの前でいちゃいちゃしなーい!」
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/17(木) 14:12:13.40 ID:IzsZg0BK0
まどか「へへっ。さやかちゃんだって、いつも杏子ちゃんといちゃいちゃしてるくせに」
杏子「あたしらはいいの!なっ、さやか♪」
グイッ
さやか「ちょっ、バカ!ていうか別にいちゃいちゃなんてしてないし!」
まどか「照れない照れない♪ね、ほむらちゃん!」
ほむら「……」ホムッ
さやか「あーっ、ほむらまでー!」
杏子「暴れんなって」
マミ『羨ましいわ、あなた達皆同じクラスで』
まどか「わっ、マミさん!」
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/17(木) 14:19:47.65 ID:IzsZg0BK0
杏子『急に話しかけてくんなよー』
マミ『だって、羨ましかったんだもん、いいでしょ?ちょっとくらい』
まどか『マミさん、今日の魔女退治、どうします?』
さやか『あたし的に杏子と一緒ってのは嫌なんだけど』
マミ『また照れちゃって』
さやか『マミさんまでー!』
まどか「ほむらちゃんは?」
ほむら「え?」
まどか「私、ほむらちゃんと一緒がいいなっ」ニコッ
ほむら「……うん」
マミ『じゃあ、私と佐倉さん、美樹さんで、鹿目さんと暁美さんが一緒。これでいい?』
ほむら『……はいっ』
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/17(木) 14:27:26.34 ID:IzsZg0BK0
◆
何度見ても変わらない、そのおぞましい姿への恐怖を振り払い、私はワルプルギスの夜と
対峙する。
そいつは私の姿を見つけると、空中に浮かぶ何かを次々と私の身体目掛けて
振り落としてきた。
ほむら「――!」
スピードや、その破壊力は何度も戦ったせいで身にしみている。
それにまともに当たれば命の危険があるということも。
ヒュッ、ヒュッ
それらを避けながら、ワルプルギスの夜の心臓部を探りながら上へ飛ぶ。
闇の中にぽつんと赤い点。それが奴の唯一の弱点。
そこさえ見つけ、弾丸を放てばワルプルギスの夜を倒せるはずだった。
倒せなかったとしても、かなりの傷にはなるだろう。
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/17(木) 14:35:00.09 ID:IzsZg0BK0
まどか「ほむらちゃーん!」
下のほうから、まどかの声が聞こえる。
喉が枯れるまで、私の名前を叫ぶつもりなのだろうか。
視界の隅に、インキュベーターの姿が映る。
そいつはまどかに何かを囁いていた。
そう、あいつがまどかを魔法少女になるようそそのかすまでに、私はこの
ワルプルギスの夜を倒さなければいけない。
ビュッ
紫色の閃光が頬を掠めていく。
痛さに顔を顰める時間さえない。
ビュッ、ビュッ
ワルプルギスの夜がすぐ近くにいる。私を見下ろす。動き出す。
まどか「――ちゃん!ほむらちゃん!」
遠くの方で、まどかの声がする。
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/17(木) 14:42:05.25 ID:IzsZg0BK0
◆
マミ「魔法少女が魔女を産むのなら――みんな、死ぬしかないじゃない!」
杏子「……畜生ッ」
さやか「あたしって、ほんとバカ」
まどか「もうやだよ、こんなのって……ないよ」
誰も、未来を信じない。
誰も、未来を受け止められない。
QB「教えてごらん、君の願いを」
ほむら「――鹿目さんとの出会いをやり直したい!」
たとえ、私が永遠の迷路をさまようことになったとしても。
私は、まどかを救いたい。
ほむら「約束するわ。絶対に、あなたを救ってみせる」
誰も私のことを信じてくれなくったって。
まどかが、私のことを思い出してくれなくったって。
それでもいいから――!
◆
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/17(木) 14:53:58.24 ID:IzsZg0BK0
ドッ
昔の映像が、頭を過る。
その瞬間を突かれ、私は空中から振り落とされる。
力に任せて落ちていく私を紫色の閃光が貫くべく追いかけてくる。
残った力をかき集め、銃を構えた。
バンッ
撃った。
私の放った弾丸は、紫色の閃光に衝突し、そして――飲み込まれた。
ギュンッ
よけいに威力を増したそれが、私を目掛けて降って来る。
まどかの叫ぶ声が聞こえる。
QB「まどか、早く願い事を決めるんだ!」
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/17(木) 14:58:09.01 ID:IzsZg0BK0
インキュベーターが動き出す。
私は精一杯の力を振り絞り、「だめ!」と叫ぶ。
まどか、だめ。そいつの言葉に耳を傾けないで!
落ちていく。私は落ちていく。
紫色の閃光が、私を追いかける。
心臓が貫かれる――!
そう思ったとき、それは僅かに軌道を変えた。
私の撃った弾丸が功を為したらしい。
けれどそれは。
ガリッ
盾の削れる音がした。
その途端、時空間が歪んでいくのがわかった。
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/17(木) 15:05:25.57 ID:IzsZg0BK0
『私、鹿目まどか。宜しくね!』
『まったく、君たちはいつもそうだ。わけがわからないよ』
『ティロ・フィナーレ!』
『あたし達、ゾンビみたいじゃんか……!』
『返せよ!そのグリーフシードは!』
まどか「……なに、これ?」
QB「暁美ほむらの中の時間が、溢れ出ているようだね」
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/17(木) 15:09:14.37 ID:IzsZg0BK0
まどか「どういうこと?ねえ!」
ほむら「だめっ、まどか!」
見ないで。
思い出さないで。
もしまどかがあの約束を思い出したらあなたはきっと――
身体が、動かない。
まどかの元へ行きたくても、身体が動かない。
固い地面に打ち付けられる。
その瞬間に、持っていた銃が音を立てて遠くへ落ちてしまった。
新たな武器を取り出す気力も無い。大体、盾が壊れてしまったのだから、
私にはもう、勝ち目なんてない。
まどかとの思い出が、私の目の前を流れていく。
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/17(木) 15:17:51.06 ID:IzsZg0BK0
まどかは泣いていた。
ずっとずっと、泣いていた。
あなたを守ると、約束したのに私は――
まどか「ごめんね、ほむらちゃん……」
か細い声が、私を呼ぶ。
頼りない足音が、近付いてくる。
こっちに来てはだめ、まどか。
あなたまでワルプルギスの夜に狙われてしまう!
まどか「忘れてたなんて、最低だよ、私……」
ほむら「違、う……っ」
思い出さなくていい、あの記憶は全部、私の中だけのもの。
あなたは何も、思い出さなくていい。あなたはそんなふうに、苦しそうな顔を
しなくてもいいのに!
まどか「ごめんね、ほむらちゃん……ごめんね……っ」
カチッ
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/17(木) 15:27:39.82 ID:IzsZg0BK0
ほむら「……まどか」
まどかの手には、私の持っていた拳銃が、握られていた。
それを、私に向けながらまどかはただひたすら、涙を流し続ける。
ワルプルギスの夜が、私たちのすぐ傍に。
まどかは逃げなかった。
いつかの強い意思を持った目が、私だけを真直ぐに捉えていた。
ほむら「まどか……」
まどか「ほむらちゃん、ごめんね――」
まどかの目から、最後の涙が一粒、零れた。
バンッ
鋭い銃声が私を包み込む。
ソウルジェムが、砕け散る。
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/17(木) 15:30:28.38 ID:IzsZg0BK0
まどか「キュゥべえ」
QB「君の願いは――」
まどか「ほむらちゃんの願いを、叶えたい」
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/17(木) 15:33:38.43 ID:kzggzEN80
まどっち… 26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/17(木) 15:36:10.29 ID:IzsZg0BK0
◆
先生「皆さん。今日は先生から大切なお話があります」
ガヤガヤ
先生「心して聞くように」
ゴクリ
先生「いいですか女子の皆さん!卵の焼き加減にケチをつけるような男とは交際しないように!
そして男子は!くれぐれもそういう大人になれないように!」
シーン
先生「先生が言いたいのは……それだけです……」グス、グス
さやか「今回の相手もだめだったのか。ね、まどか」
まどか「……うん」
さやか「まどか?」
先生「あー、あと転校生紹介します」
さやか「今更!?」
先生「暁美さーん」
ガラッ
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/17(木) 15:44:21.24 ID:IzsZg0BK0
まどか「!」
コツ、コツ、コツ
男「すっげー美人」
女「かわいー」
コツ、コツ、コツ
スッ
先生「暁美さん、自己紹介して」
ほむら「暁美ほむらです。宜しく、お願いします」
ガタッ
ほむら「!?」ホムッ
まどか「ほむらちゃん……お帰り」
おしまい
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/17(木) 15:50:10.75 ID:oIicNx2qO
まどか魔法少女になってるからいずれは人類滅ぶな
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今のほむらは「まどかとの出会いからやり直して、まどかが魔法少女にならない幸せな未来」を願ってる
その願いの成就をまどかが願った
矛盾はまどかの魔力が凌駕して、割と問答無用のハッピーエンドかも