素敵すぎるTOP絵をなななんとまたまたいただきました!2枚をランダム表示です!かわ唯!セシリアまどメガほむやすニャ!あっかりーん

まどか「腹パン少女ひとみ☆ヒドカ・・・?」2

 
まどか「腹パン少女ひとみ☆ヒドカ・・・?」の続きです
 
 
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/17(木) 23:01:26.86 ID:SJ89UvUio

「ね、ねえ・・・喧嘩はよくないよ・・・昨日みたいにまた・・・」

「・・・まどかさんには昨日の杏子さんとの戦いがただの喧嘩に見えたんですか?」

「え・・・?」

「あれは正真正銘、殺し合いでしたわ。私が消力(シャオリー)を会得していなければ、腹キックで今頃・・・」

「そんな・・・」

そんなやり取りを見て、マミさんは軽く溜め息をつくとまどかさんの方を見ました。

「貴女のお名前は?」

「え・・・あ、鹿目まどか・・・です」

「そう。いい名前ね。ちょっといいかしら」

ツカツカ、と靴音を鳴らしてまどかに近づくマミさん。
彼女はまどかさんを頭を優しく撫でると、次の瞬間――――

ドスッ。

「あがッ・・・!?」

なんと、まどかさんに腹パンをしていました。
頭を撫でて油断させたところで、腹パン。

やはりこの人・・・猛者です。手馴れています。
パンチを繰り出すタイミング、キレ、シャープネス・・・全てが完璧。
理想の腹パンです。


47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/17(木) 23:03:45.19 ID:SJ89UvUio

「げほっ・・・かはっ・・・痛い・・・痛いよぉ・・・」

お腹を押さえながら地面を転がるまどかさん。
しかし私は見抜いていました。
あの腹パンは――――ッッ

「ごめんなさい。鹿目さん、貴女いいお腹ね。でも痛くないはずなのだけれど」

「えっ・・・でも・・・あれ?い、痛く・・・ない・・・?」

そう。あれは“無痛腹パン”。
無痛腹パンは相手にダメージを残さず、かつ苦痛を最小限に抑えた最も慈悲深い腹パン。高級技です。
改めて全身に戦慄が走ります。

「ところであなた達・・・今すぐここから出て行ってくれないかしら」

「・・・何故ですの?」

「そうね。ここに魔女がいるって言えばどれだけ危険な状況かすぐわかってくれるかしら」

「ま、魔女って・・・まさか、マミさんも・・・」

「・・・魔法少女、ですの?」

「そうよ」

刹那、バリンと鏡の割れる音。
辺りを見回すと、それまでコンクリートの塊だった廃墟は“お菓子の空間”になっていました。

壁には生クリームが垂れ、床はケーキのスポンジ。
そこら中に人の大きさほどの巨大な棒付きキャンディーが突き刺さっています。
毒々しい狂気の世界。


48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/17(木) 23:04:24.77 ID:SJ89UvUio

「・・・ごめんなさい。巻き込むつもりはなかったのだけれど」

そう言うと、マミさんは文字通り“変身”しました。
光に包まれたかと思えば、次の瞬間には美しい戦装束に身を包み、手には白いマスケット銃。
非現実、非日常の連続。まるで夢のよう。頭がクラクラします。
しかしこれは夢ではなく現実・・・なんですよね。

「ここは・・・まぁ早い話、魔女の巣ね」

「魔女の巣・・・ですか?」

「そう。残念だけれど、一度入ったら出られないわ。かといってここにあなた達を置いていくのも危険」

「ということは・・・」

「ええ。私について来て」

見れば見るほど狂気の世界。
常人・・・いや狂人ですら理解できないであろう世界。

そこら中に巨大なお菓子が転がり、甘い匂いの充満した絵本の中のような世界。
瓶の中で踊り狂うカラフルなキャンディー。

真っ赤な生クリームが溶け、血のように滴る。
砂糖で出来たサンタが子供の手足を切り刻む。

巨大なチョコチップクッキーのチョコは、よく見れば人の頭。
頭がおかしくなりそう。

「こっちよ」

私にとって、異能の力を持つ魔法少女は厄介な存在でした。
しかし今はその魔法少女のマミさんがとても頼もしく見えます。

足が震えます。怖いのでしょうか。
この夢の世界が怖いのでしょうか。
まどかさんも震えていました。


49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/17(木) 23:05:15.33 ID:SJ89UvUio

「えへへ・・・私、ほむらちゃんと一度だけこういうとこ入ったことあるから
 初めてじゃないんだけど・・・でもやっぱり怖いよ」

「大丈夫ですわ。いざとなったら私がこの拳で戦いますから」

・・・なんて言いつつも、はっきり言って自信がありません。
というのも魔女にお腹があるのか不明だからです。
お腹が無ければ勝ち目は無いと言っていいでしょう。

・・・怖い。
でももし仮にマミさんが倒れたら、後は戦えるのは私のみ。

私はまどかさんを守れるのでしょうか。
まどかさんのお腹を・・・守れるのでしょうか。

いえ、守る。守りたい。守ってみせるッ!
珍しく正義感に燃える私です。ふんすっ。

「さて。来たわよ」

マミさんはマスケット銃を構えます。
前方から、何かの大群がやってくるのが見えました。

・・・その大群はよく見ると、羽の生えた“何か”の大群。
ただ、1体1体がドス黒い殺意を私たちに向けていることはわかります。

パンッ!

マミさんはその大群に向かってマスケット銃を撃ち始めます。
地面に大量に突き刺さった銃を抜き取り、撃っては捨て、撃っては捨て・・・。
至近距離の敵はそのまま銃で殴りつけ、地面に叩きつけています。

マミさんは笑っていました。
思わず見惚れてしまう、踊るような美しい戦い。

「私ね。実は一人が嫌なの。寂しいなぁって。でも今はあなた達がいるから安心して戦える」


50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/17(木) 23:06:39.62 ID:SJ89UvUio

「マミさん・・・」

「さぁ行きましょう。魔女はこの先よ」

私たちは走りました。
魔女という名のこの世界の出口へ向かって。
やがて見えてくる、一際広い空間。
空間の中央には可愛らしい小さなぬいぐるみのようなものが優雅にお茶を楽しんでいました。
これが魔女なのでしょうか。

「マミさん・・・私も戦いますわ」

「ありがとう。でも大丈夫よ。その一言だけで十分。もう何も怖くない」

マミさんは私にウインクしてみせました。
大丈夫だから大人しく見ててね、というサイン。
私はまどかさんをしっかり抱き寄せ、マミさんの戦いの舞踏を見守ることにします。

ダンッ。ズドンッ。

火を噴くマスケット銃。
銃弾は魔女をかすめ、ティーポットを割り、ケーキを粉々に砕きます。

被弾しつつも未だ優雅にお茶を飲む魔女。
しかし、そのお茶を1杯飲み干すと魔女はついに動き出すのでした。

小さなぬいぐるみのような魔女。
しかしそのぬいぐるみの口から出たのは真っ黒な煙の塊。
煙の塊はやがて毒々しい水玉模様を纏い始め、その先端には真っ白な仮面のような顔が形成されるのでした。

まるで子供の落書きのような稚拙な顔。
しかし口にはギザギザの噛み切るのに特化した見るからに恐ろしい歯が並び、見る者に恐怖を与えます。
マミさんはその塊に向かってマスケット銃を乱射しますが、まるで効いていない様子。


51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/17(木) 23:07:43.44 ID:SJ89UvUio

手に汗が滲みます。
私もまどかさんも、マミさんの勝利をじっと祈るばかり。

撃っては魔女の攻撃を避け、撃っては避け・・・それを繰り返すうちに、マミさんは明らかに消耗。
このままでは・・・。
いかし私には何もできません。恐怖で体が言う事を聞かないのです。

はぁはぁと肩で息をするマミさん。
焦れた黒い塊の怪物はチャンスとばかりに急接近。
そしてその大口を開け、マミさんに向かって――――

マミさんの頭が――――



――――いいえ。
彼女はギリギリのところで怪物の攻撃をかわし、跳躍。



「ティロ・フィナーレ!」



メリッ、ゴシャッ!という何かが割れる音。

私は何が起こったのか、一瞬理解ができませんでした。
しかし。

マミさんはなんとその怪物の額に――――拳をめり込ませていたのです。


私は衝撃を受けました。
こ、これは“剛・体・術”~~~~ッ!?


52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/17(木) 23:08:47.00 ID:SJ89UvUio

腹パン・スクールの頃――――
体重60キロの師匠(センセイ)が見せた奇跡(ミラクル)・・・・・・。

昔・・・私たち腹パニスト候補生達が冗談で用意したボーリング玉。
師匠(センセイ)はそのボーリング玉を、“剛体術”を使い粉砕してのけた。

『仮に動作に必要なこの関節を―――完全に固定化できたなら 人は鉄球になれる』


そう。あの怪物は額に拳ではなく――――鉄球の直撃を受けたのです。
ピシリピシリとヒビが入り、やがてボロボロと崩れ落ちていく怪物の白い仮面。
仮面が全て崩れ去ると、黒い煙の塊は霧散。

同時に、この狂気に満ちた世界も終焉を迎えるのでした。
私たちは、元の世界・・・あのコンクリートの廃墟へ生還することに成功したのです。

「ふう。一件落着ね」

白い無骨なコンクリートの廃墟も、今は夕陽でオレンジ色に染まっていました。
現実への帰還を実感です。

「あの、マミさん・・・ありがとうございました。マミさんがいなければ私もまどかさんも今頃・・・」

「いいのよ。むしろあなた達を巻き込んでしまって申し訳ないくらい」

私は今回、貴重な体験をしました。
世の中には表と裏がある。
そして私は自分の身すら守れない弱者だということ。
腹パンは所詮人間相手にしか通用しないこと。

そして・・・世の中には信じられないくらい強い人がいるということ。
私はその人に憧れを抱いてしまったこと。


53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/17(木) 23:09:19.85 ID:SJ89UvUio

「あの・・・どうすればマミさんみたいに強くなれますの・・・?」

「あはは。やっぱり魔法少女になることかしらね」

「やっぱり・・・そうですか・・・」

私は俯き、そして考えました。
私は強くなりたいわけじゃない。ただ腹パン道を極めたいだけ。

でも、自分すら守れない人間が腹パン道を極めて一体何になるのでしょう。
井の中の蛙だったことに気付いた私は、考えが少しずつ変わってきていました。

「仁美ちゃん・・・もしかして、魔法少女になっちゃうの・・・?」

心配そうな瞳で私のことを見るまどかさん。
私は思いました。

さっき、あの狂気の世界で震えるまどかさんを抱き締めていた時。
あのとき私は確かに思いました。まどかさんのお腹を守りたい、と。

何よりも他人を優先する優しいまどかさん。最高のお腹を持つまどかさん。
そんな彼女のお腹を守りたい・・・確かにそう思いました。
不思議な感情です。

「守りたい人がいる、それだけで十分魔法少女になる価値があると私は思うわ」

「・・・。」

「でも焦る必要はないから、よく考えて決めてね」

「・・・そうしますわ」

マミさんはニコリと微笑むと、階段を降りて私たちの前から姿を消してしまうのでした。
残された私は、相変わらず俯いたまま考え事をしていて。


54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/17(木) 23:09:47.69 ID:SJ89UvUio

「・・・そうですわね。魔法少女になるのも悪くないかもしれません」

「えっ・・・」

「守りたいお腹もありますし、マミさんもカッコよくて素敵だなぁって思いましたし・・・」

私がそう言った瞬間。
背後から、トテトテ・・・という足音が聞こえるのがわかりました。
どこかで聞いたことのある足音。この足音は間違いなく・・・。

「やっぱり仁美は魔法少女になるって信じてたよ」

「・・・はいですわ」

「あれっ・・・きゅ、キュゥべえ・・・?」

そう。背後にいたのはあの白い謎の生き物、キュゥべえさん。

「魔法少女になれば、守りたい人を魔女から守れるからね。うん。いい選択だと思うよ」

私はキュゥべえさんの前まで歩きます。
殴り飛ばしてしまったこともあるけれど・・・この生き物が私に力を・・・。

「キュゥべえさん。お願いしますわ。私、力を手に入れてまどかさんを守――――」


「その必要はないわ」


私がそう言い掛けた瞬間、コンクリートの柱の影から一人の少女が現れました。
その少女は長く美しい黒髪で――――


55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/17(木) 23:10:19.65 ID:SJ89UvUio

「ほ、ほむらちゃん・・・?」

「志筑仁美。命は投げ捨てるものではないわ」

ほむらさんはツカツカと靴音を鳴らしながらこちらへ近づいてきます。
そしてキュゥべえさんを掴むと、窓から放り投げました。
わけがわからないよ・・・というキュゥべえさんの声が虚空に響き渡ります。

「鹿目まどかは私が守る。だから貴女は大人しく美樹さやかにでも腹パンしてなさい」

「それは無理ですわ。さやかさんには杏子さんという番犬が」

「それよりほむらちゃん、なんでパンツを頭に被ってるの?しかもそれ私のだよね?」

「これはヘルメットよ。志筑仁美。貴女は何もわかってない」

じっと私のことを睨むほむらさん。
その瞳には明らかに燃えるような殺意が宿っています。

なぜほむらさんはこんなにも私に敵意を持っているのでしょう。
やはり、あの腹パンが原因なのでしょうか。

「魔法少女になるということは不幸を背負うということ。
 貴女が悲しめば鹿目まどかも悲しむ。認めたくないけれど」

「でも私は力が欲しいんですの」

「力なんて必要ない。それでも魔法少女になるというのなら私は貴女を殺す」

「ほむらちゃん、私のパンツ返して」

「・・・あらあら。でもほむらさん、私に負けたじゃありませんか」

「あれは油断していただけ。今度は容赦しない」


56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/17(木) 23:10:47.74 ID:SJ89UvUio

ほむらさんは懐から拳銃を取り出し、私に銃口を向けます。
・・・拳銃ですか。
どうやら彼女は本当に私を殺すつもりなようです。

「やめて・・・お願い・・・こんなの絶対おかしいよ・・・」

「止めないで、鹿目まどか。これも貴女のため」

「やめてくれないなら・・・いいよ。私、仁美ちゃんと一緒にほむらちゃんと戦う」

「ほむっ!?」

「まどか・・・さん?」

・・・どうやら私は心強い味方を手に入れたようです。
ほむらさんも予想外の展開に、すっかり戦意を喪失してしまった様子。

「そうね。争いは良くないわ。鹿目まどか。こちらへ来て。何もしないから」

そう言いながら、ロープを取り出しハンカチに謎の液体を染み込ませるほむらさん。

「仁美ちゃんは絶対に人殺しなんかしない。でもほむらちゃんは本当に仁美ちゃんを殺そうとしてる」

「鹿目まどか。飴あげるから私と一緒に来て」

「人殺しなんて絶対間違ってるよ・・・。だから私は仁美ちゃんの味方になる」

「くっ・・・」


57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/17(木) 23:11:37.77 ID:SJ89UvUio

悔しそうに唇を噛むほむらさん。
何故彼女はそんなにまどかさんにこだわるのでしょう。
そして何故まどかさんには手を出そうとしないのでしょうか。

「志筑仁美。貴女は運がいい。鹿目まどかに感謝することね」

「あ、待って、ほむらちゃ――――」

彼女はまどかさんを無視して、廃墟の奥の闇へと走り去ってしまうのでした。
ほっと胸を撫で下ろす私。
そして同時に思いました。
やはり・・・私は魔法少女になるしかないようです。

「ほむらちゃん・・・私のパンツ返してよー・・・こんなのおかしいよ」

もしまどかさんが味方してくれなければ、今頃私の頭には風穴が開いてたことでしょう。
BOOM HEADSHOT。
暁美ほむら-志筑仁美(死亡)
なんてキルログが画面右上に表示されたことでしょう。

「まどかさん・・・お礼を言いますわ」

「ううん。私だって、大切なお友達同士の殺し合いなんて見たくなかったし・・・」

「友達・・・!?私と鹿目まどかは恋人じゃ」

「それで、まどかさん・・・私やっぱり、魔法少女になりますわ」

「・・・そっか」


58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/17(木) 23:12:45.74 ID:SJ89UvUio

きっとほむらさんは今後も私の命を狙うはず。
まどかさんを悲しませないためにも私には魔法少女になるという選択肢しか残されていないようでした。

私が魔法少女になり力を得て強くなれば、ほむらさんとの争いを回避できるはず。
屈服させるには高くつく相手・・・そう思わせるだけで十分なのです。

「まどかさん」

「え・・・?」

ドスッ。

「かはっ・・・!?」

帰りの腹パンです。
ラ・ヨダソウ・スティアーナ。

「さぁ、暗くなる前に帰りましょうか。両親が心配してしまいますわ」

「そ、そうだね・・・げほっ、けほ・・・」


その日の夜。
帰宅して入浴した後、軽く10万キロカロリーはある食事を済ませ私は自室にいました。

とりあえず宿題でも終わらせましょうか、とノートを開きます。
そしてほむらさんが書いたと思われる
“私のまどかに近付くな。この変態レズ女”の落書きを消しゴムで消しました。

「ええと・・・“女は30で最も輝く”を英語に・・・」

とここで、コンコン・・・と窓が叩かれてるのに気付きます。
猫?カラス?

――――いいえ。彼しかいません。
私は手に持っていた愛用のシャープペンシル、ビスケット・オリバ君を置き、カーテンを開けるのでした。


59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/17(木) 23:13:31.98 ID:SJ89UvUio

「やあ、君に会いに来たよ」

「・・・お待ちしてましたわ」

窓を叩いていたのは、やはりあの白い生き物。
私は窓を開け、彼――――キュゥべえさんを中に入れるのでした。

「ふう。ここなら邪魔されることなく契約できるね」

「・・・ですわね」

「それじゃ、本当に魔法少女になるんだね?」

「・・・はい。キュゥべえさんと契約して魔法少女になりますわ」

私の言葉を聞いて、いつもは無表情なキュゥべえさんが、ニコリと笑いました。
もう後戻りはできません。

これから待っているのは戦いの日々。日常から非日常へ。
私は拳をぎゅっと握りました。

「魔法少女になる代わりに何でも一つ願い事を叶えてあげるけど、何かあるかい?」

「ああ。それならほむらさんを巨乳にしてあげてください」

「そんな願い事でいいのかい?まぁ君は力自体が望みみたいだからね」

「ですわ」

「わかったよ。それじゃ目を閉じて・・・」


60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/17(木) 23:14:10.97 ID:SJ89UvUio

この日、この夜。
私はついに魔法少女になるのでした。
全ては自分を守るため。そしてまどかさんのお腹を守るために・・・。



朝になり、ぼーっとした頭で私は朝食を食べていました。
イチゴミルク。ホットケーキ。プリン。
甘い物の三重奏。スウィート☆ブレックファーストです。

私は果たして本当に魔法少女になったのでしょうか。
はっきり言って、まだ実感はありません。
しかし私の指には指輪があり、昨晩の出来事が夢ではないことを教えてくれます。

「ひとみ☆ヒドカ、月に代わってお仕置きよー」

私はキュゥべえさんとの会話を思い出していました。
魔法少女に課された、魔女と戦う運命。
願いを叶えるための代償。

想うな・・・人生を失った事・・・平穏な未来を失ったこと・・・

失ったのではない・・・

得た・・・

何を・・・?

何を得た・・・?

魔法少女・・・

魔法少女という・・・個性(オリジナル)!!


61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/17(木) 23:14:51.03 ID:SJ89UvUio

「仁美。食事中は静かになさい」

「お母さま。私は失ったものではなく、手にしたものを考えるように努めますわ」

「あらそう」

「魔法少女という現実に身を置くことでしか手に出来ないものがあるハズ」

「仁美。お薬ここに置いておくから食後に飲むのよ」

スウィート☆ブレックファーストを食べ終えた私は薬を飲みました。
I DON'T LIKE THE DRUGS, BUT THE DRUGS LIKE ME.
キュゥべえさんは言っていました。

魔法少女は魔女を倒し、グリーフシードというものを手に入れなければならない。
そしてソウルジェムに溜まった穢れをグリーフシードに吸わせ、魔翌力を回復させなければならない。
早速今日から魔女狩りです。

「それじゃ行ってきますわ、お母さま」

外は快晴。とてもいいお天気です。
こんな日は少し小走りで待ち合わせ場所に行きたくなってしまいます。

「あ、仁美ちゃんおはよー」

待ち合わせ場所には既にまどかさんがいました。

「おはよう」

ついでに巨乳になったほむらさんも。

「志筑仁美。私は貴女のことを誤解していた」

「はい?」

「貴女は魔法少女になるべきだった。ありがとう。たゆんたゆん」


62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/17(木) 23:16:09.09 ID:SJ89UvUio

ほむらさんは顔を赤くしながら、その素敵なお胸を両手でたゆんたゆんと触っていました。
どうやら彼女は巨乳に憧れていたようですね。良かった良かった。

「ほむらちゃん、またパンツ被ってる・・・」

「これは青と白の縞々模様のヘルメットよ」

「しかもそれ、私のじゃなくて私のお母さんのパンツだよ」

「ほむっ!?」

「あ、さやかちゃんと杏子ちゃん、おはよー!」

「おう、おはようまどかー」

ここでさやかさんと杏子さんも登場。
いつもは3人なのに、今日は5人で登校ですか。賑やかでいいですね。

「そういえばあの白いのから聞いたぞ。仁美だっけ?あんた魔法少女になったんだって?」

「はいですわ」

「聞いてくれよ。実はさやかも昨日魔法少女になったんだぜ。願い事はなんだと思う?」

にやにやと笑い出す杏子さん。
一方で急に顔を真っ赤に湯気を出し始めるさやかさん。

「ちょ、言わないでー!」

「いつかはバレるんだからいいじゃねえか」


63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/17(木) 23:16:47.42 ID:SJ89UvUio

「う・・・わ、わかったわよ・・・ええと・・・私、今日から名前が『佐倉さやか』に変わりました・・・」

「あらあらまぁまぁ。それは素敵ですわねえ」

「鹿目ほむら・・・ほむっ」

「さやかー、新婚旅行はどこにするんだ?軽井沢か?ハワイか?それともイルクーツク?」

いつもの日常。当たり前の日々。
ああ。私はこの束の間の日々の安らぎを噛み締めています。

学校でもそう。いつもの教室。いつものクラスメイト。
何も異変はありません。

「ううっ、うっ・・・まさか生徒に先を越されるなんて・・・」

「先生、泣いてないでそろそろ授業をお願いしますわ」

「暁美まどか・・・ほむっ」

今日は理科の実験でべっこう飴を作りました。
数学では円周率は3ではなく3.14であると学び、社会ではストーカーと下着泥棒について学びました。
楽しい学校生活です。

しかし・・・。
普通の人と違い、私たち魔法少女は楽しいことばかりではありません。

「魔女の気配がしますわ」

「杏子・・・怖いよ・・・」

「安心しな。あたしが絶対守る」


64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/17(木) 23:18:07.52 ID:SJ89UvUio

学校が終わり、私たちは魔女を探していました。
そう。楽しいことばかりではないのです。

「仁美ちゃん・・・」

最初は危険だからと断ったのですが、どうしてもと言うので今回はまどかさんも一緒です。
私はまどかさんの手を離さないようしっかり握りました。

やがて。
空間が“歪み”ました。
歪みは大きくなり、私たちの世界を飲み込みます。
歪みに飲み込まれた私たちは、魔女の狂気の世界に立っていました。

私は自分の緑色のソウルジェムを指輪から取り出し、そして変☆身です。
緑色の可愛らしい戦装束。
そして武器は・・・この熱い拳。

同時にさやかさん、杏子さんも変☆身します。
赤い服に槍を持った杏子さん。
青い服、それに白いマントをなびかせ剣を携えたさやかさん。

「さやか・・・可愛い・・・」

「杏子も・・・」

「な、なぁ・・・我慢できねえ・・・ちょっとそこの物陰に・・・」

「あぁん、もう・・・杏子は強引なんだから・・・」

さやかさんと杏子さんがログアウトしました。

現在残っている戦闘員は私、リアルでモンクタイプの志筑仁美ただ一人のみ。
ですが私にはまどかさんがいます。
もう何も怖くない。


65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/17(木) 23:18:37.95 ID:SJ89UvUio

「仁美ちゃん・・・気をつけて」

私はまどかさんと繋いでいた手を離しました。
力が湧いてきます。

まどかさんがいるだけで、無敵になった気分。
私は魔女を睨みつけました。

真っ赤な十字架の姿をした魔女。
恐ろしい魔翌力。真っ赤な憎悪が渦を巻いています。

先ほどから響いている魔女の賛美歌は私を呪い殺さんとする呪詛か、
はたまた死に急ぐ私への哀れみの聖歌か。

「さやか・・・力抜いて・・・まずは小指からな」

「んんっ・・・杏子ぉ・・・!」

私は魔女へ向かって跳躍。拳を突き出します。
しかし魔女も大人しくやられるつもりはないようです。
十字架の根元から何本も長い腕が私に死という希望を与えんと伸びてきます。

「さやか・・・痛くねえか・・・?」

「うん、大丈夫・・・ホントだ・・・その気になれば・・・痛みなんて完全に消しちゃえるんだぁ・・・」

腕が私の首や体に絡みつきます。
完全に極まった裸締めからは絶対に逃れられない。
しかし私はその腕を掴み――――ぶちゅ、と捻り潰すのでした。
“握撃”です。
魔法少女になり桁外れな握力を手に入れた私だからできる芸当です。

「私・・・初めての相手が杏子で良かった・・・」

「さやか・・・好きだ・・・愛してる・・・!」


66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/17(木) 23:19:11.44 ID:SJ89UvUio

握撃で腕を一つ潰され、怯む魔女。
私はニッと笑い、低い姿勢で跳躍しながら加速。

「仁美ちゃん・・・!」

そして十字架に向かって、思い切り拳を突き出します。
できる。今の私ならできます。
恐怖も何もない。負ける気もしない。
殺されたって死ぬもんか!
握力×体重×スピード=破壊力ッ!
拳に戦って散っていったマミさん、さやかさん、杏子さんの想いを込めて――――

――――魔女のお腹に、呪いと怨恨からの解放という救済を。


ドガァッ!!


私の拳は魔女のお腹にクリティカル・ヒット。FATALITY。

十字架は砕け散り、涙となって土へと還っていきます。
魔女は救われました。
もう他人を恨んだり、呪ったりする必要はないのですから。

狂気の世界もガラガラと音を立てながら崩れ、私たちの世界が現れ始めます。
私は魔女の残したグリーフシードを拾い、言います。

「一件落着・・・ですわ♪」

「仁美ちゃーん!」


67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/17(木) 23:19:52.10 ID:SJ89UvUio

涙を流しながら私を抱き締め、生還を喜んでくれるまどかさん。
さやかさんも杏子さんも、慌てて着衣を戻すと私の勝利を祝ってくれました。
いつの間にかいたほむらさんも、私の手からグリーフシードを奪い、褒めてくれました。

「仁美・・・だっけ?あんた初めてのわりにはなかなかやるじゃん」

「仁美ちゃん・・・すごくカッコよかったよ!」

「鹿目まどか。私のカッコいい胸を見て」

心は満たされ、とても清々しい気分でした。
この魔女を倒したことで救われた人も何人かいることでしょう。

私は今まで力も弱く、守られる方の立場でした。
それが今では腹パン道を学び、魔法少女になることでこうして守る方になれたのです。

「もう日が暮れちまったな。そろそろ帰るか、さやか」

「うん。じゃあね、まどかに仁美」

今日はとりあえず解散のようです。
手を繋ぎながらラブホテル街へと消えていくラブラブなお二人。

「あ、待って・・・佐倉さやか、佐倉杏子・・・」

何か用事があるのか、突然二人を呼び止めようとするほむらさん。
しかしどうやら二人の耳には届かなかったようです。

「行っちゃったね」

「・・・。泣いてないもん。それより志筑仁美、鹿目まどか。私の家に来て」


78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/17(木) 23:30:15.30 ID:ZjHo496po

杏子さんとさやかヤバいだろwwwwwwwwww


68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/17(木) 23:20:28.39 ID:SJ89UvUio

「ええー・・・怖いよ」

「ど、どどどどうしてなの鹿目まどか」

「だってそう言ってこの前行ったら、ほむらちゃん私のこと急に縄で縛るんだもん」

「とにかく来て。大事な話があるの」


数分後。
私とまどかさんは、ほむらさんと一緒に彼女の家へと移動していました。
複雑な路地裏を何度も通り、家と家の隙間を通り、暗く深い樹海の中を通り過ぎます。

「あ、あの・・・ほむらさんのお家ってどこにあるんですの?」

「亜空間ベクトル143-10-54の斜め上よ」

「は、はい・・・?」

とにかく先をずんずん歩いていくほむらさん。
私は必死に追い掛けるのですが、
くねくねと入り組んだ地下道でついに彼女を見失ってしまうのでした。

暗い地下道。ここはどこなのでしょう。
ドアがたくさんあります。不気味です。

まどかさん、ほむらさん・・・
貴女達は今どこで何をしていますか?この空の続く場所にいますか・・・?

「あれ?仁美ちゃんがいないよ?」

ああ。まどか。私のまどか。
貴女は何故そんなに魅力的なの。
可愛らしい笑顔。思わず抱き締めたくなる泣き顔。どれも素晴らしい。


69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/17(木) 23:21:26.51 ID:SJ89UvUio

私はまどかの手を引いて走った。
邪魔者はいない。私とまどかの二人だけの時間。

「ほ、ほむらちゃん?」

通路の突き当たりにあるドアを開ける。
大きなベッドと、冷蔵庫のある部屋だった。
私はその冷蔵庫から冷えたシャンパンを取り出し、開けた。
ポン、しゅわわわわ・・・。

「疲れたでしょう。少し休憩しましょ」

シャンパンをグラスに次ぎ、ベッドに座ったまどかに渡す。
彼女はそれを一口美味しそうに飲むと、言った。

「ほ、ほむらちゃん・・・あのね」

彼女は耳まで真っ赤しながら言った。
私もグラスを傾け、シャンパンの味を楽しんだ。

「その・・・変かと思うかもしれないけど・・・私、ほむらちゃんのことが・・・好きなの」

「私も好きよ。鹿目まどか」

「ち、違うの!その好きじゃなくて・・・その・・・」

私は小首を傾げた。
彼女は何が言いたいのだろう。
今度はグイッとシャンパンを一気に飲み干した。

「わ、私は・・・ほむらちゃんと、恋人になりたいなぁって・・・そういう好きなの・・・」

「鹿目まどか・・・」

「へ、変だよね?う、うぅ・・・ごめんなさい。やっぱり何も聞かなかったことに――――」


70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/17(木) 23:23:08.03 ID:SJ89UvUio

まどかがそう言い掛けたところで、私は彼女の唇に自分の唇を重ねた。
これが私の返事よ、鹿目まどか。

「ほ、ほむらちゃ・・・」

「鹿目まどか。私も貴女のことが好き。貴女が欲しい」

私は欲望の赴くまま、彼女を押し倒した。
そしてボタンを一つずつ外し、服を脱がしていく。
1枚脱がすたびに露わになる、まどかの白く美しい肌。

「ほむらちゃん・・・」

まどかの可愛らしい、少し子供っぽい下着に手を掛ける。
彼女は抵抗しなかった。
私はそのまま、するするとゆっくり脱がし始めた。

「は、恥ずかしいよ・・・」

「まどか・・・大丈夫よ・・・全部私に任せて・・・」

そして私はまどかの、

「あ、ほむらさん・・・前」

「え」

ドアにガツン、と頭をぶつけるほむらさん。
大方妄想でもしていたのでしょう。
それで、どうやらここがほむらさんの家のようです。
門のところに“暁美ほむら”の表札がありましたし。


71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/17(木) 23:23:49.79 ID:SJ89UvUio

「痛・・・どうぞ入って」

“土足厳禁”と書かれた張り紙を無視し、靴を脱がずに中に入ってびっくり。

白い床。白い天井。同じく白い壁にはよくわからない絵や文字の書かれた紙がびっしり。
紙・・・?いえ、これは・・・映像?

そして装飾の施されたギロチンの揺れる影。
これがほむらさんの家・・・?

「あ、これ無くしたと思ってた私の縦笛・・・なんでほむらちゃんの家に・・・」

「とりあえず座って」

私とまどかさんはソファーに座り、ほむらさんの話に耳を傾けます。
彼女は1枚の紙を見ながら言いました。

「もうすぐ、“ワルプルギスの夜”が来るわ」

「ワルプルギスの夜・・・ですか?」

「そう。とても強大な魔女よ」

「え、ええと・・・どこに・・・現れるのかな?」

するとほむらさんは、壁に貼られた地図を指差し、言いました。

「ワルプルギスの夜はここに出現する可能性が高いわ」

「どうしてわかるの・・・?」

「統計よ」

「そこって・・・北極ですか?」

「南極よ」

「二人とも落ち着いて・・・この地図、私の家の見取り図だよ」


72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/17(木) 23:24:21.62 ID:SJ89UvUio

つまり、ほむらさんはこう言いたいのでしょう。
もうすぐワルプルギスの夜という強大な魔女が出現する。
なので共同で倒そう、と。
一人では無理でも、私にほむらさん、それからさやかさんと杏子さんの6人いれば何とかなると。

「ねえ、今更なんだけど・・・ほむらちゃん、なんで私の体操着着てるの?」

「鹿目まどか。今回はとても辛い戦いになる。貴女はここに避難していて」

「ほむらちゃん巨乳だから胸の部分が伸びちゃってもう私着られないよ・・・」

「わがまま言わないで。本当に危険なの。付いて来ても邪魔になるだけ」

ほむらさんにそう言われ、瞳にじわりと涙を滲ませるまどかさん。
確かに、私もほむらさんと同意見です。

まどかさんを危険な目に遭わせるのはやはり好ましくありません。
しかし、きっと彼女はこう思っているのでしょう。

自分だけ安全な場所に避難して、私とほむらさんだけ戦わせるわけにはいかない・・・と。
私はやれやれ、と溜め息をつきながら言いました。

「ほむらさん。観客がいなければ役者も張り合いがありませんわ」

「志筑仁美。これは戦争よ。戦争に観客はいらない」

「なら尚更ですわ。その暗~い戦争中、まどかさんの声援があれば頑張れると思いません?」

「ひ、仁美ちゃん・・・!」

「駄目よ。絶対駄目。鹿目まどかは縛り付けてでもここに避難させる」


73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/17(木) 23:24:54.98 ID:SJ89UvUio

「・・・なら私は降りますわ。そんな危険で面倒なこと」

「くっ・・・」

「それに言い忘れてましたがさやかさんと杏子さんは明日から新婚旅行でイルクーツクに」

「・・・。」

はい、決まりですね。
私、ほむらさん・・・そしてまどかさんの6人で戦いましょう。
まどかさんは観客ではありません。
私たちと同じ、役者なのですから。


それに・・・・・・。
更に付け加えると、役者は3人ではありません。4人です。
ほむらさんは知らないようですが・・・この街にはもう一人、強い魔法少女がいるではありませんか。
そう――――マミさんです。

私は立ち上がり、そしてほむらさん、まどかさんと手を重ねました。
ワルプルギスの夜討伐の、共同戦線の開始です。


74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/17(木) 23:25:21.19 ID:SJ89UvUio


次の日・・・本日、学校はお休み。
私は自分の家の地下にあるトレーニングルームに居ました。
まどかさんが固唾を呑んで私のことを見守ります。
私はじっと動かず目を閉じ、そして想像していました。

「・・・来ますわ」

何もない空間に現れる、ぼんやりとした影。
その影は・・・人の大きさほどもある、巨大なカマキリでした。

そう。これは――――シャドウボクシング。
相手を想像し、想像した相手と戦う。

私はその持ち前の高い妄想力を生かし、想像で受けたダメージを実際に再現するという
かなり高レベルなシャドウボクシングを行っていました。

そして今回の相手はカマキリ。小さな狩人。
通常のサイズなら片足で踏み潰せる相手です。
しかし、もしそんなカマキリが体重100キロの人間サイズになったとしたら・・・?

「そこから先は私・・・鹿目まどかが話すね」

「まず、仁美ちゃんは何もない空間をじーっと見てた」

「一体何を見てるんだろうと思ったら、
 いきなり仁美ちゃんは見えない何かに突き飛ばされて壁に激突して。
 もうびっくり。一体何が起こったの!?って感じだったよ」

「うん。仁美ちゃん、血が出てた。とっても痛そうで・・・
 私は急いで手当てしようとしたんだけど仁美ちゃんが、危ないから下がってて、って」


75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/17(木) 23:26:02.36 ID:SJ89UvUio

「それで・・・仁美ちゃんは急にしゃがんだり、腕で何かを受け止めたりし始めて」

「よく見たら、それは何か攻撃を避けてるみたいで・・・私にはもちろん何も見えないんだけど・・・」

「それで、今度は見えない何かにパンチし始めて。
 ここで私は、あぁ・・・仁美ちゃんは何かと戦ってるんだ・・・ってことに気付いて」

「でも相手は強敵みたいで・・・仁美ちゃんは突き飛ばされたり、叩きつけられてたりしてたよ。
 血もいっぱい出て・・・こんなの絶対おかしいよね。実体の無い想像の相手と戦ってるのにね。
 わけがわからないよね。でも私・・・思わず仁美ちゃんを応援してた」

「それに途中から、仁美ちゃんが何と戦ってるのか私にも見えちゃって。
 あの動き、息遣い、雰囲気――――カマキリかな、って何となく」

「仁美ちゃんの常人離れした高い妄想力が、私にも想像の相手を見せてくれたんだね」

「え?そんなのあり得ないって?ううん、あなたはよくわかってないよ」

「仁美ちゃん、私とさやかちゃんが手繋いで歩いてるだけで鼻血出してたからね。
 何妄想してるのかはわからないけど、とにかく仁美ちゃんの妄想力は凄くって」

「私、もうビックリしちゃって。仁美ちゃんなら・・・創れるんだ。
 体重100キロのカマキリとの試合が・・・創れちゃうんだ!」

「仁美ちゃんは言ってた。体重100キロのカマキリは200キロ以上の虎やライオンより遥かに強いって」

「何もない空中を攻撃して・・・何もない空中からくる攻撃を――――防御(ふせ)いでる」

「最初、仁美ちゃんはカマキリの頭を攻撃してるみたいで」

「でも途中で気付いたんだね。カマキリの頭には脳がほとんどなくて」


76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/17(木) 23:26:31.04 ID:SJ89UvUio

「だから人には必ず起こる脳震盪がない・・・頭への攻撃が効かないって」

「それで今度は仁美ちゃん、後ろからカマキリの首をがっちり絞めて」

「でもカマキリは視角がとっても広いから・・・それにとても器用みたいで。
 仁美ちゃんはすぐに大きな鎌で引き離されてたよ」

「仁美ちゃん、とっても劣勢みたいで、逃げ回ってた。攻撃を避けるので精一杯。
 でも途中で気付いたんだね。逃げ回ってても意味はない。魔女だって攻撃しないと倒せないから」

「うん。一番得意のお腹にパンチ、あれをカマキリにやってたよ」

「私も殆ど毎日仁美ちゃんにお腹パンチされてるけど・・・あれはとっても痛いよ」

「立ち上がれなくって・・・しかもお腹にパンチされた後は1日中なんだか体調が悪くなっちゃう」

「だから当然、カマキリにもお腹パンチは効いてたみたい」

「ただ何もない空中にパンチしてるだけなんだけど・・・私にはパンチの当たる音が聞こえてたよ」

「仁美ちゃん、笑ってた。余裕が出てきたみたい。もう鳥vs昆虫を見ているみたい」

「それで今度はカマキリの方が逃げ回って。やっぱりお腹にパンチは人も虫も苦手みたいだね」

「最後に思いっきり一撃を叩き込むと、仁美ちゃんはタオルを拾って汗と血を拭いて一息ついてた」

「そう。あのカマキリに勝ったんだね。凄い、凄いよ仁美ちゃん!」

「私、感動しちゃって。仁美ちゃんを抱き締めちゃった」


80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 02:09:55.41 ID:dg5jVYEH0

面白いけど意味わかんねぇwwwwwwww


82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 11:38:56.94 ID:n4fxwt9Lo

糞ワロタwwwwwwww
頭おかしいんじゃねえのwwwwww



85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 22:43:33.48 ID:xP0Vj0GZo

・・・私は着実に自分に自信をつけていきました。
魔翌力を使用しない・・・つまり自分の素の腕力だけで、カマキリを撃破。

私・・・強くなってる。確実に。
でも・・・もっと強くならないと。

「まどかさん・・・すみません、私用事が」

私には会いに行かなければいけない人がいるのです。
名前は巴マミ。強い魔法少女。

その人に会ってどうするかって?
それはもちろん、喧嘩です。
この辺でイチバン強いといったら、マミさんしかいません。

「あ、そっか・・・なら私は家に帰ろうかな」

「すみません、せっかく遊びに来てくださったのに」

「ううん・・・私こそ忙しいところごめんね。それじゃ、また明日ね」

それにしても・・・仁美ちゃんは凄いなぁ。
少し前までは私と同じ普通の女の子だったのに。

ううん、よく考えてみれば変わってないのって私だけだよね。
さやかちゃんだって、運命の人を見つけちゃったし。
ほむらちゃんも色々大変みたいだし。

そして私は、仁美ちゃんのお家を出て、一人とぼとぼ帰り道。
とても暖かくて気持ちのいい天気なのに、どこか寂しい。

なんだか、もう私も魔法少女になっちゃいたいよ。
そうしたら戦いでも少しは役に立てるのに。
ほむらちゃんは何で私に魔法少女になって欲しくないんだろ。


86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 22:44:01.43 ID:xP0Vj0GZo

「鹿目まどか」

そんな時、後ろから私を呼ぶ声が。
この声はほむらちゃん?

「あ、ほむらちゃん・・・いい天気だね」

「そうね。それで突然で申し訳ないのだけれど、これから私の家に来てくれないかしら」

「う、うん・・・いいけど」

私は一瞬だけ、悩んじゃった。
何故ならほむらちゃん、いつもと様子が違ったから。
なんだか、重苦しくて深刻なような雰囲気だったから。

拭い切れない不安を胸に、私はほむらちゃんの家へ。
私がソファーに座ると、ほむらちゃんは紅茶の入ったティーカップを出してくれました。

私は重苦しい雰囲気が苦手。
だ、だから、とりあえず・・・何か話さなきゃ。

「あ、あのね。仁美ちゃん凄いんだよ?さっき、大きなカマキリ倒したんだよ」

「・・・カマキリ?」

「うん。あ、あの・・・想像して戦う、シャドウボクシングってやつなのかな・・・なんだけど」

「くすっ・・・」

「・・・?」

「くすくすっ・・・想像上のカマキリ・・・?」


87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 22:44:46.35 ID:xP0Vj0GZo

いきなりくすくすと笑い出すほむらちゃん。
あれ?私、なんか変なこと言っちゃった?

「百聞は一見にしかず・・・百見は一触にしかず・・・殺されもしない、喰われもしない」

「え・・・」

「いかに巨大化しようが想像はあくまで想像。実物の仔犬にも劣るシロモノだわ」

「そんな・・・でも仁美ちゃんは血まで流して・・・」

「やっぱり、志筑仁美は頼りにならない」

「ほむら・・・ちゃん・・・?」

「鹿目まどか。やはり貴女はしばらくここで避難していて頂戴」

次の瞬間、目の前にいたほむらちゃんは消え、いつの間にか私の両手には手錠が。
え?ええ?
一体、どういう――――

「ほむらちゃん!?」

ほむらちゃんは私を担ぐと、階段を降りていって・・・。
じたばた暴れて抗議しても離してくれず・・・
どさり、と地下室へ放り込まれるのでした。

「ここでしばらく大人しくしていて」

「い、嫌だよほむらちゃん・・・!」


88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 22:45:49.92 ID:xP0Vj0GZo

「ワルプルギスの夜を倒したら解放するわ。食料も水も十分ある」

「ま、待って・・・!」

「手錠もあと30分で自動的に外れるわ。
 いい?余計な事は絶対考えないで。自分の身の安全だけを考えなさい」

そう言うと、ほむらちゃんは重そうな金属製のドアを閉めるのでした。
それからカチャ、カチャ、カチャ・・・と何重にもロックされるような音。
かなり厳重に施錠されたみたい。

・・・それはあっという間の出来事。
有無を言わさず閉じ込められてしまいました。
あの仁美ちゃんの話をしたのが悪かったのかな・・・。

・・・ううん。
ほむらちゃんは初めからこうするつもりだったんだ。
私を安全な場所に閉じ込めて、自分だけ危険な目に・・・。

確かに私は絶対に足手まとい。
弱いし、役に立たないし・・・。
それはよくわかってる。

でもやっぱり・・・私だけ仲間外れは寂しいよ。苦しいよ・・・。
皆が苦しんでる時に、私だけ呑気に安全な場所にいるなんてそんなの耐えられないよ・・・。

一人ぼっちの地下室。
白い壁に冷たい床、ベッドと大量のダンボール。中身はたぶん水と食料。

脱出は・・・やっぱり無理だよね・・・。
本当に私、しばらくここに閉じ込められちゃうのかな。

ワルプルギスの夜を皆が倒すまで閉じ込められちゃうのかな。
うう・・・。嫌だよ・・・。

ほむらちゃん・・・何でこういうことするの・・・?
私なんか守って、どうするの・・・?

助けて・・・。
仁美ちゃん・・・助けて・・・。


89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 22:46:19.20 ID:xP0Vj0GZo

・・・ここは、あの私とマミさんが初めて出会ったあの廃墟。
未完成のまま放置された、無機質で灰色のコンクリートの神殿。
私はそこで、再びマミさんと対峙していました。

「貴女も魔法少女になったのね」

「ですわ」

「それで、今回はどういった用かしら」

「私と戦って欲しいんですの」

私はいたって真面目。
しかしマミさんは口に手を当て、くすくすと笑い始めます。

「ごめんなさい。私は自分と同じ魔法少女と戦いたくないの」

「・・・どうしても、ですか?」

「ええ。不毛だもの」

「これでもですか?」

刹那。私はマミさんのお腹に思いっきり拳を叩きつけていました。
しっかり締まった、彼女のお腹の感触。手応えアリです。
しかし――――

「まぁ落ち着いて」

マミさんはニッコリ笑っていました。
私は全身から、ぶわっと汗が噴き出すのがわかりました。
おかしい。こんなのおかしいよ。
間違いなくクリティカルヒットしたはず。
なのにマミさんはノーダメージ・・・ッッ!?


90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 22:47:03.91 ID:xP0Vj0GZo

「・・・粗塩を塗ってあるわ」

「え・・・・・・ッッ」

「昔のベアナックルボクサーはそうやって切れにくい肌を完成させてたのよ」

「そんな・・・」

「まぁ、大体事情はわかったわ。貴女、私を戦いの練習台にしたいのね」

「・・・ええ。その通りですわ」

「もう、仕方ないわね」

そう言うと、マミさんはポケットから1枚のハンカチを取り出します。
このハンカチは・・・?

「志筑さん・・・このハンカチの端を持ってくれないかしら」

「“ルーザールーズ”ですか・・・懐かしいですね。子供の時によくやりましたわ」

“ルーザールーズ”・・・。
元々は16世紀にヨーロッパの貴族の間に生まれた決闘のルール。

戦う双方が互いにハンカチの両端を握り合い・・・そして殴り合う。
ルールは至って単純(シンプル)。

離したら負け。

文字通りハンカチをルーザー(失う者)が名誉をもルーズ(失う)というシンプルにして過酷なゲーム。
ハンカチの端を指でつまむという取るに足らない動作を――――
名誉を守るという掛けがえのない意志で維持する。
ルールとしては理に適っている。


91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 22:47:40.41 ID:xP0Vj0GZo

「志筑さん・・・貴女は腹パンで握力、そして指を鍛えたはず」

「ピンチ力(指でつまむ力)ならマミさんだって凄いと思いますわ」

「そうかしら?」

「コインの四つ折り・・・缶ビールの搾り出し・・・線路用の大釘をへし曲げる・・・素晴らしいですわ」

「お褒めに預かり光栄よ。ありがとう」

私はマミさんに感謝をしていました。
ただの練習台・・・そう分かってて付き合ってくれる優しい彼女に。

感謝してる以上、手は抜けません。本気でいかせてもらいます。
北斗天帰掌。例えここで死んでも相手を怨まず悔いを残さず天に帰ります。

マミさんはその黄金色のソウルジェムを取り出し、変☆身。
私も歓喜の表情で自分の緑色のソウルジェムを取り出し変☆身です。

「もう始まってるのかしら」

「ええ。始まっていますとも・・・!」

先に仕掛けたのは私でした。
片手でハンカチを摘んだまま、マミさんのお腹へジャスト・腹パン。
ドスッ、という派手な音が響きます。

マミさんは数センチ後ろへ吹っ飛びましたが、まだハンカチは離しておらず。
知ってます。マミさんはこんなパンチでは倒れません。

しかし、倒れないなら倒れるまで連撃するまで。
執拗な腹パン。まるでサンドバッグのようなマミさんのお腹。
まどかさんだったら間違いなく昇天しているレベルの腹パンの嵐。
流石に少し効いたのか、後ろへ倒れこんでいくマミさん。


92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 22:48:51.44 ID:xP0Vj0GZo

「ッ!」

マミさんの体重に引っ張られ、思わず両手でハンカチを掴んでしまう私。
一方でマミさんもハンカチを離さず・・・。
地面に背もついていないので、倒れそうな彼女を支えている状態に。

「あらあら・・・貴女はいつまでそんな下品な鷲掴みを続ける気かしら」

私はハッとして自分の手元を見ます。
両手でがっしり掴んでいる私に対し、マミさんはなんと小指と親指だけでハンカチを摘んでいました。

「・・・これは失礼しましたわ」

一筋の汗が額から顎へと流れ、そして地面にポタリと落ちました。
流石はマミさん・・・・・・ッッ

彼女は体制を立て直し、そして不敵に微笑みます。
私も強がった笑みを見せ、そして小指と親指でハンカチを摘みます。

「今度は私の番ね」

マミさんの鋭い腹パン。
当然、避けることなど出来るはずもなく、それは私のお腹にヒット。

「んぐ・・・・・・ッッ」

これは無痛腹パンではありませんでした。
重いッッ そして鋭い・・・ッッ。

悲鳴を上げる内蔵。
でも大丈夫。まだ大丈夫。


93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 22:49:45.50 ID:xP0Vj0GZo

私は腹パンを食らい低い姿勢になったまま、駄目押しのタックルを繰り出します。
そして片手をマミさんの腰に回し、そのまま力任せに真上へと放り投げます。

「あっ・・・!」

突然空中に放り投げられ、思わずハンカチを離しそうになるマミさん。
しかし彼女はその空中で体勢を立て直し、そして地面に着地します。
冷や汗が出ています。結構危なかったようですね。

「マミさん・・・持ち方を変えられたんですの?」

「えっ?あっ・・・・・・」

マミさんは5本の指でがっしりとハンカチを掴んでいたのです。
これでさっきの借りは返しましたよ。

「あぁ・・・志筑さんごめんなさい・・・」

私はニヤリと笑いながら、喋っているマミさんの隙だらけなお腹を叩きます。

「すっかり退屈させてしまって・・・大丈夫、もう大丈夫よ」

しかし私はそんな彼女の話など聞かず、とにかく攻めまくります。
私だって魔法少女です。いくらマミさんでも、ダメージはあるはず。

その証拠に、彼女は唇の端から一筋の真っ赤な血を垂らしていました。
そして息が上がり、攻撃をストップした私に向かってマミさんは言いました。

「ねえ志筑さん。貴女はいつまでハンカチを“握って”いるのかしら」

「えっ・・・?」

「私の左手を見て。もう摘んですらいない・・・もう握らないわ」


94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 22:51:18.22 ID:xP0Vj0GZo

見れば、マミさんはもうハンカチを握らず・・・手のひらに乗せているだけでした。
凄いッ。やっぱり凄いよマミさんッッ。

「・・・知っていますわ」

シシリー島出身のホテル王、ジャン・ジルベルト。

1947年シャンゼリゼ通りに外国人初の超大型高級ホテルを建てたことで、観光客の賞賛と
地元住民のヒンシュクを同時に買い世間を騒がせた男。

そしてこの男の持つもう一つの顔、マフィアの一員であったことは有名で
1961年暮れに上納金にまつわる裏切り行為が発覚する。もちろん、即刻組織内にて処刑が決定。

1962年1月4日、深夜のブローニュの森にて、マシンガンの銃口が囲む中処刑は行われた。
処刑のスタイルは――――離した方が即負け(銃殺)のルーザールーズマッチ。

ところがこのハンカチマッチには、恐るべきハンデがあった。
若く巨体の挑戦者には、しっかりとハンカチを握らせたのに対し――――
齢70を越えるジルベルトには手の平に乗せるだけ。

もちろん奇跡は起ころうハズもなく勝負は一撃でケリがつき、仲間達の一斉射撃で処刑は幕を閉じるも・・・。
そのルールだけは名を残す。
“ルーザールーズ・ジルベルトスタイル”ッ!

「・・・100年はありませんでしたわ。これほどの緊張」

私はこの状況を楽しんでいました。
魔女との戦いでは絶対に得られない緊張感。恐怖、笑顔・・・。

人間同士の戦いは高度で・・・そしてなんて崇高なんでしょう。
私も指をハンカチから離します。

フゥ、と一息で飛んでいってしまう状況のハンカチ。
さて。どうしましょうか・・・?

「愚かね」


95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 22:52:03.60 ID:xP0Vj0GZo

勝負はこれから。
そう。これからだというのに。
ハンカチは突然現れたとある邪魔者によって取り上げられてしまうのでした。

「あッ・・・」

そのハンカチを取り上げた邪魔者、それは――――

「暁美、さん・・・?」

マミさんが驚いた表情で言いました。
あれ?知り合いだったんですか?

「巴マミ。久しぶりね」

「ええ。お久しぶり。最後に会ったのはいつだったかしら」

ほむらさんは溜め息をつき、そしてマミさんを見ながら言いました。

「巴マミ。貴女まで下らないお遊びをするとはね」

「暁美さん、その頭のおパンツは新型ヘルメットのProto-MA.DO.KA.ね」

「志筑雑魚美。貴女も弱いくせに巴マミに喧嘩売るなんて愚かなことはやめなさい」

「け、喧嘩ではなく特訓ですわ!」

「あと弱いくせに私のまどかに近づかないでくれるかしら。私のまどかは私が守る」


96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 22:53:39.04 ID:xP0Vj0GZo

つまり、ほむらさんはこう言っているのでしょう。
訓練はとても大事。強くてマッチョでカッコいい志筑仁美さんは偉い。
巴マミさんは巨乳だけど今の私の方が胸は大きい。
だから私の家に来て。そして話を聞いて、と。

「暁美さん、随分お胸大きくなったのね」

「ええ。努力の結晶よ」

「私が前にお洋服を剥いで見た時は小さくて可愛かったのにね」

「・・・私はまだ貴女を許してないわ」

「あら。でもちょっと触っただけで初めての方は奪ってないじゃない」

あらあら。
二人がそんな間柄だったなんて。

いやぁ、やめてぇ・・・!
うふふ・・・暁美さん・・・大人しく私のものに・・・!
ううっ・・・いやぁぁ・・・
あら。でも濡れてるわよ?ほら見て・・・暁美さん、これは何かしら?
やだ・・・見せないでぇ・・・ひゃぅん!
暁美さん、無理やりされるのが好きなのね?可愛いっ
んっ、ああっ・・・!だめぇ・・・!
ふふ・・・もっと弄って欲しい?
う、うう・・・もっとぉ・・・もっと欲しいのぉ・・・!
あらあら。なら私のこと愛してるって言ってくれるかしら?
んっ、ひゃっ・・・はいぃ・・・マミしゃん・・・好き・・・大好き・・・愛してるよぉ・・・!
くすくすっ・・・よく出来ました。これがご褒美よ・・・?

こうして二人はめくるめく百合のお花畑の世界へ・・・。
いやんっ。


97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 22:54:44.81 ID:xP0Vj0GZo

「志筑さん。妄想が全部声に出てたわよ」

「あ、あの・・・ほむらさんとマミさんはお知り合いで・・・?」

「ええ、まあね」

「・・・巴マミは最凶の死刑囚だったのよ」

「懐かしいわね」

「死刑囚・・・ですか?」

「ええ。ロシアのミサイル基地を改造した刑務所に閉じ込められていたわ。暁美さんと一緒にね」

「私と巴マミはそこのサイロの壁を一緒に登って脱出した、脱獄仲間」

私はその話を聞いて、驚くと同時に納得をしていました。
サイロの壁を登る?道具も無しにどうやって・・・?

いえ、きっとマミさんは壁の僅かな傷や錆などに指を掛け、ロッククライミングの要領で登ったのでしょう。
あの馬鹿みたいな指の力を持っていたからこそ出来る芸当です。

「確かそこの刑務所で、寒さに震える暁美さんを私が体で暖めてあげたんだったかしら」

「・・・違う。突然発情した巴マミが私を・・・って、今はそれどころじゃ」

「暁美さん、顔が赤いわよ?」

「コホン。と、とにかく志筑雑魚美と巴マミに大事な話があるのだけれど」


98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 22:56:13.68 ID:xP0Vj0GZo


そして・・・その頃、私鹿目まどかは・・・。
手錠が外れ、必死に脱出口を探している最中でした。

まぁ、すぐ脱出は不可能な事を思い知らされたんだけどね。
出入り口はあの鋼鉄のドア一つしかないし・・・。
しかも、この鋼鉄のドアは内側からじゃ取っ手がなくて開けられないみたい。

「はぁ・・・」

私は溜め息をつきました。
本当に・・・ここで待ってるしかないのかな・・・。
寂しいよ。1分がとても長く感じるよ・・・。
仁美ちゃんに会いたい。今ならたくさんお腹にパンチさせてあげるのに。
うう・・・。

「お困りのようだね」

突然の声に私はびくっとしてしまいます。
声の主は・・・キュゥべえでした。

「あ、あなたどこから・・・」

「まぁ楽じゃなかったね。罠が張り巡らされてて、69体も犠牲になったよ」

「え?罠? え・・・?」

「とにかく、僕と契約すればここからすぐにでも出してあげれるよ」

「で、でも・・・」

「迷う必要なんかないじゃないか。ここから出れる。魔法少女になればもうお荷物じゃない。最高だろう」


99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 22:57:50.84 ID:xP0Vj0GZo

「うぅ・・・。え、ええと・・・」

「さぁ、早く早く」

過去に何度もキュゥべえから勧誘は受けました。
でも、こんなに契約を急いでるキュゥべえは初めて。

どうしよう。
でもなんだかキュゥべえの目が怖いよ。
それにほむらちゃんが契約しちゃダメって言ってる理由もまだわからないし・・・。

「・・・はぁ。悩む理由がわからないよ」

「ご、ごめんなさい・・・」

「いいよ。残念だけど、最後の手段を使うしかないみたいだね」

え?最後の手段・・・?
私がハテナマークを浮かべていると、キュゥべえはこちらに背を向け――――

その背中にある“穴”から1本の細い筒状の何かをポトリと出すのでした。
そしてキュゥべえはその筒状の物についてる輪っか・・・いえ、“ピン”のようなものを抜いて・・・。

「あんまりこの手は使いたくなかったんだけどね」

プシュー。
キュゥべえがピンを抜くなり、その筒からは何と緑色の煙が噴き出し始めたのです。
え?この煙は何?

「毒ガスだよ。僕は大丈夫だけど、人間にはちゃんと効くからね」


100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 22:58:47.81 ID:xP0Vj0GZo

毒、ガス・・・?
その単語を聞いた瞬間、私は全身から汗がどっと噴き出るのがわかりました。

毒ガスって・・・吸ったら死んじゃうよね・・・?
嫌だ・・・嫌だよ・・・死にたくないよ・・・!

私は手で鼻と口を塞ぎます。
でも緑色の毒々しい煙は部屋中に少しずつ拡がっていって・・・。

「さぁ。死にたくなかったら僕と契約して魔法少女になってよ!」

キュゥべえはニッコリと笑っていました。
こんなの絶対間違ってるよ・・・!

なんで?キュゥべえはもしかして、私の敵だったの・・・?
うう・・・。ごめんね、ほむらちゃん・・・。

もう私、魔法少女になるしかないみたい。
いいよね?私、死にたくない・・・。

「わ、わかったよ!私、あなたと契約して魔法少女になっ――――」

(僕の勝利だ)
そうキュゥべえは思ったことでしょう。


「それには及ばないわ」


しかし、現実は違いました。
そう。お助けヒーローの登場です。

「ギリギリでしたわね」

「ええ。間に合って良かったわー」


101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 22:59:22.19 ID:xP0Vj0GZo

ズズン、と壊れた鋼鉄のドアが大きな音を立てながら倒れました。
ドアには拳がめり込んだ跡がありました。
どうやら仁美ちゃんが思いっきり殴って壊したようです。

「み・・・みんな!」

そこにはお助けヒーローの、ほむらちゃん、仁美ちゃん、マミさんの3人がいました。

「あーあ。あと少しだったのに」

残念そうなキュゥべえ。
ほむらちゃんは私たちの所まで歩いてくると、その煙を噴き出している筒を蹴っ飛ばしました。

「ほ、ほむらちゃん!あれは毒ガスだって・・・!今すぐ逃げよう!?」

「落ち着いて。あれはただの色のついた無害な煙よ」

「え・・・?」

「ははは。まどか、よく考えてごらん。契約させたい人間を殺しちゃ意味ないだろう?」

「あっ・・・」

ケラケラと笑うキュゥべえ。
私はたまに、キュゥべえって、狐とかリスみたいで可愛いなぁ、なんて思う事がありました。
でも今のキュゥべえは・・・そう、悪魔みたい。

「ほむらさん。そろそろまどかさんに全て教えて差し上げたらどうでしょう」

「そうね。こいつ、インキュベーターが本性を現したことだし」

「お茶でも飲みながらゆっくり話しましょう。私が淹れるわ」

「僕は遠慮したいところだけど・・・そうはいかないみたいだね。ははは」


・・・鹿目まどか、暁美ほむら。
それに志筑仁美、巴マミ・・・そしてインキュベーターの、不思議なお茶会の始まりです。


102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 23:00:53.11 ID:xP0Vj0GZo


そして視点は私、志筑仁美に移ります。
地下室から移動した私たち不思議なメンバーはほむらさんの家のリビングにいました。
私はマミさんから紅茶の入ったティーカップを受け取り、一口啜ります。

「・・・巴マミ。どうして私だけコーヒーなの」

「え?暁美さん、コーヒーが好きだったわよね?」

マミさんはクスクスと笑っていました。
私はほむらさんがコーヒーを飲めないのを知っています。

恐らくマミさんも知っててコーヒーを渡したのでしょう。
しかしまどかさんが見ている手前、飲めないとは言えないみたい。

何とか我慢して一口だけ飲もうとするのですが、やはり無理みたいなようです。
ほむらさんは口からだらーっとコーヒーを垂らし、床を汚すのでした。

「巴マミ。私にも紅茶を頂戴」

「はいはい」

「あ、あの・・・それで、お話って・・・?何を教えてくれるのかな・・・?」

まどかさんが遠慮がちに口を開きました。
ほむらさんは紅茶に砂糖とミルクをどばどば入れながら話し始めます。

「そうね。まず魔女と魔法少女の仕組みから話そうかしら」

ほむらさんは魔女と魔法少女の仕組みについて話し始めました。
ちなみに私もマミさんも、既に彼女から全て話は聞いてあります。


103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 23:02:09.04 ID:xP0Vj0GZo

「・・・というわけで、魔女は早い話、魔法少女の成れの果てなの」

「私たち、知らないうちに元魔法少女と殺し合っていたわけね」

「更に付け加えると、もちろん私達もいつか魔女になる可能性がありますわ」

「そんな・・・」

ショックを受け、しゅんと項垂れるまどかさん。
まぁ、無理もないでしょう。私もその話を聞いた時はショックで目の前が真っ白になりました。

マミさんも同じく・・・わなわなと震え、頭を抱え込んでいました。
ですが、この話には“救い”があったのです。
ほむらさんが用意してくれた救いが。

それのおかげで、今こうして私とマミさんは何とか正気を保てています。
その“救い”については、後で語ることにしましょう。

「そういえば、さやかさんと杏子さんには話さなくていいんですか?」

「そうね。ついでだから話しておこうかしら」

・・・忘れがちですが、私達魔法少女はテレパシーで会話が可能なのです。
私の電波よ、新婚旅行で遠いイルクーツクにいる二人に届け!

『ん、ほむら? ・・・何か用か?』

『ええ。二人に話があるのだけれど』

『あーごめん、後でいいか?今さやかと・・・』

『杏子ー、早くお風呂入ろうよー』

『んー・・・ちょっと待ってくれ』

『どうしたのー?あ、わかった!脱がして欲しいんでしょ?やだもう杏子ったら!』

『ちょ、違ェって!脱がすな脱がすなッ!』

『杏子・・・大好きだよ・・・私の王子様♪』


104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 23:03:37.20 ID:xP0Vj0GZo

あッッ。
通常、テレパシーは音声だけなのですが・・・今私、映像も受信しました。
裸の杏子さんとさやかさんがお風呂で絡んでます。
意外にもさやかさんが攻めなようです。

「私もまどかと新婚旅行に行きたい」

「そうね。ええと志筑さん、どこまで話したかしら?」

「魔女と魔法少女の仕組み・・・のとこですわ」

「もしもし。新婚旅行ツアーの申し込みをしたいのですが・・・はい、名前は鹿目ほむらです」

「そうそう。鹿目さん。よく聞いて。魔女と魔法少女の仕組みについてはわかったわね?」

「は、はい」

「何故、そこにいるキュゥべえは人を魔法少女にするか、わかるかしら」

「え・・・わからない、です・・・」

「正直、私も良く理解してないのだけれど・・・彼らは“エネルギー”が欲しいみたい」

「え、えねるぎー・・・?」

退屈そうにごろごろしているキュゥべえさんを尻目に、マミさんは話し始めます。

まず、キュゥべえさんは地球外生命体であること。
そしてキュゥべえさんは“エネルギー”を集めているということ。

そのエネルギーを集めるのに効率がいいのが、少女の“感情”だった。
少女が希望から絶望の淵に突き落とされる時、莫大なエネルギーを得られる・・・と。

なのでキュゥべえさんはまず願い事を叶える、という希望を少女に与えていた。
そして認めたくありませんが、希望はいつか絶望に変わります。

絶望があるから希望があり、希望があるから絶望がある。
与えられた希望はすぐ絶望に変わる。

そして絶望した少女は魔女に変化する。膨大なエネルギーを放出しながら。
キュゥべえさんはそれを回収していたと。


105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 23:05:05.75 ID:xP0Vj0GZo

「そ、それじゃ・・・やっぱりキュゥべえは私達の敵・・・?」

「そういうことになるわね」

「ですわ」

「鹿目まどか。来週一緒にハワイに旅行なんてどうかしら」

「まぁ、確かに君達からすれば僕は敵かもね」

さっきまで黙っていたキュゥべえさんが、喋り始めます。
可愛らしい顔とは裏腹に、彼の口からはとんでもないことばかり吐き出されるのでした。

「正直言って、僕も君達のことは電池・・・もしくは家畜程度にしか思ってないしね」

「鹿目まどか。ハワイに行ってノイシュヴァンシュタイン城を見ましょう」

「それに家畜が死んだところでどうとも思わない。君達人間と同じさ」

「ひ、ひどすぎるよ・・・家畜だなんて・・・」

「家畜からエネルギーを搾り取り、産業廃棄物である魔女の後片付けもさせる。合理的だろう?」

「鹿目まどか。子供の名前は私達の名前を合わせた『ほのか』にしましょう」

涙ぐむまどかさん。
淑女な私はそんな彼女にハンカチを黙って渡しました。
先ほどのマミさんとの対決で使ったハンカチでした。ラベンダーの香り付き。

「そして鹿目まどか・・・少し前に話した、ワルプルギスの夜のことは覚えてるわね」

「う、うん・・・すっごい強い魔女・・・だよね?」

「そう。ワルプルギスの夜は――――魔女化した鹿目まどか、貴女なのよ」


106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 23:06:08.22 ID:xP0Vj0GZo

魔法少女の行き着く先、それが魔女。

魔女は負の感情しか持たず、何も生まず、死しかもたらさない存在。
いわゆる、産業廃棄物。

しかしまどかさんは違ったのです。
まどかさんだけは、魔女になってもエネルギーを無限に生み出す特性を持っていたのです。
通常の魔女は空虚で真っ暗で何もありません。。

しかし、ワルプルギスの夜は愛や希望・・・
それに絶望、喜怒哀楽全ての感情をも併せ持った特殊な魔女なのです。

なので、キュゥべえさんは何がなんでもまどかさんを魔法少女にしたかった。
永遠にエネルギーを供給する電池が欲しかったのです。

「鹿目まどか。これで私の“絶対契約するな”の意味がわかったはず」

「う、うん・・・ほむらちゃん、その・・・ごめんね・・・私そんなこととは知らなくて」

「いいのよ。この婚姻届にサインしてくれれば全て水に流すわ」

「そうですわね。ほむらさんの言うとおりですわ。力が欲しいからと契約した私は軽率でしたわ。しかし」

「私達には・・・秘密兵器があるのよ、ね?」

ウインクするマミさん。
私は頷き、そしてほむらさんを見ました。
そろそろでしょうか。
歴史が――――私達の運命が、大きく変わる時。

「鹿目まどか。私はこの日がずっと来るのを待っていたわ」

「え・・・?」

「恐らく、突然全てを説明しても貴女は信じてくれなかったと思う」


107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 23:07:44.26 ID:xP0Vj0GZo

「まぁ、普通信じられないわよね」

「でもインキュベーターが本性を現した今なら・・・。
 貴女を地下に閉じ込めたのもインキュベーターの本性を見せるため」

ここで、私は腕時計を見ました。
もうすぐです。
もうすぐ、私達はこの悪魔を追い出すことができる。
マミさんの言った、秘密兵器の“第一弾”によって。

・・・今から少し前のこと。
私達はほむらさんから全てを教えられ、そして信じました。

そして同時に、とある事を頼まれたのです。
一人では出来ない。でも強力な魔法少女の貴女がいればできる。
あ、強力な魔法少女というのは巴マミで、志筑雑魚美は私以下だけれど。

そんなわけで、協力を頼まれた私とマミさんはほむらさんと共に、ある結界の中を走っていました。
現世とは完全に切り離された場所です。

魔女の張る結界と似たようなものですが、この結界は特殊でした。
まず、魔女がいません。使い魔も。
そうです。この結界はとある目的のために張られたものなのです。

「あれよ」

結界の中をしばらく走り、見えたのは巨大な塔のような機械。
機械は轟音と白い蒸気を吐き出しながら稼動していました。

「これを破壊すればいいんですわね」


108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 23:09:12.85 ID:xP0Vj0GZo

私達の目的はこの機械を破壊することでした。
ですが、言うは易し、行うは難し。
よほど重要なものなのでしょう。
機械の周りは真っ赤な鎖の非常に強力な結界が張ってあったのです。

「これは・・・骨が折れそうね」

「ええ。私一人ではどうすることもできないわ」

「それで、どうすればいいんですの?」

私がそう尋ねると、ほむらさんは懐から四角い小さな箱を取り出し、言います。

「この箱は小さいけれど、強力な爆弾」

「それで結界を破るのかしら」

「いいえ。この爆弾は機械を破壊するのに使うわ」

「なら、どうしますの?」

「作戦はこう。まず巴マミと志筑仁美が結界を破る」

「できるかしら・・・」

「全部破壊するのは恐らく不可能だと思う。でも一部だけなら」

「それで一部壊した後はどうしますの?」

「修復される前に結界の中へ飛び込み、爆弾を仕掛ける」

「もし脱出が間に合わなくて結界に閉じ込められたらどうするのかしら」

「ええ。だからこの役目は志筑仁美が」

やれやれ。ヒーローとは大変なものですね。
そういえば、ほむらさんって時間を止める能力がありませんでしたっけ?
時間を止めて、ほむらさんが爆弾を設置するのが一番なのでは?
いえ、でも細かいことを言うのは私、誇り高きグラディエーターの意に反します。


109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 23:10:45.48 ID:xP0Vj0GZo

「志筑仁美。貴女の自慢の拳の威力を見せて」

「・・・任せてくださいっ!」

ありがとう。ほむらさん。私の実力を認めて下さるのですね。
私は精神を集中させました。

想像しろ。
体中の間接が増えれば・・・それだけ拳の加速は早くなり・・・
体中の間接の数が・・・2倍・・・4倍・・・
こうか?いや・・・
間接が・・・10倍・・・20倍・・・こうだ・・・ッッ
私は体中の100以上ある間接を加速させながら可動。
私の拳は普段の数倍のスピード――――音速を超えるスピードで結界に激突ッッ。

「今よ!巴マミ、撃って!」

「任せて!」

そこでマミさんがマスケット銃を乱射。
鉛球の雨・・・いえ、スイミーよろしく小さな鉛球は塊となり、大砲の弾と化して結界へ。

「やったかしら・・・!?」

白煙が消え、そこにあったのは破れた結界―――ではなく、蜂の巣になった私でした。
失敗ッッ。作戦は失敗ですッ。悔しいッ。

「くっ・・・作戦は完璧でしたのに・・・手ごわいですわ」

「志筑仁美。内臓がはみ出てて見苦しいわ」

「胃と腸にポリープができてるわね」


110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 23:12:17.18 ID:xP0Vj0GZo

しかし不屈闘士志筑仁美はこのくらいじゃヘコたれません。
このくらいの傷だって、夕食のメニューを全てステーキにして食べれば治ります。

私は立ち上がり、そして走りました。
結界を破るため、そして袋小路の運命を打ち破るために。
この拳で運命を変えてみせるッ!そしてまどかさんの笑顔を取り戻すッ!

「邪ッッッチェリアアァァッッッ!!」

しかし結局結界は破れず、ほむらさんがパスワードを解除し結界を解くのでした。
何はともあれ、爆弾の設置に成功。
そしてここで回想は終了し、話はほむらさんの家でのお茶会に戻ります。

「もうすぐあの爆弾は爆発し、あの忌まわしい機械は粉々になるわ」

「・・・わかってない。君達は何もわかってないよ。僕は正しいことをしているだけだ」

「そうね。私も正しいことをしてるだけだもの」

・・・ほむらさんは言っていました。
あの機械の塔は“電波塔”である、と。

キュゥべえさんのその白い動物のような体はただの入れ物。
本体は・・・そう、あの機械の塔です。

あの塔から電波でキュゥべえさんを遠隔操作していたのです。
もうここまで言えばわかりますね。私達が何をしたのかが。

「君達は間違ってる。今すぐやめて、僕と手を組もうよ。その方がお互いのためだろう?」

「インキュベーター。あなたは一つ重大なミスを犯した。それは人の感情を甘く見たことよ」


111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 23:13:34.90 ID:xP0Vj0GZo

チッ・・・チッ・・・チッ・・・カチッ。
時計の針が3時を差した瞬間――――爆弾は爆発。

音こそは聞こえないものの、恐らくあの機械の塔は粉々になったことでしょう。
その証拠に、キュゥべえさんはまるで魂が抜けたかのようにその場にバタンと倒れるのでした。

非常に呆気ない最期です。
数々の少女を不幸のどん底に突き落とした悪魔に相応しい、なんとも空虚で哀れな最期です。

「やっと・・・・・・終わった・・・・・」

涙を流しながら、床に手をついて座り込むほむらさん。
今、一人の少女の長い戦いが終結したのです。
もちろん、少女の勝利という形で。

「あの。ほむらさんって・・・一体何者なんですの?」

しかし、まだ全てが終わったわけではありません。
タネ明かしはまだ続きます。

「ええ。そうね・・・。まずお察しの通り、私はこの時間軸の人間ではないわ」

ほむらさんは全てを語り始めました。
すっかり冷め切った紅茶を飲みながら。


112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 23:14:45.18 ID:xP0Vj0GZo

そうね。未来・・・暴走するインキュベーターはついに地球に基地を構え始める。
そして・・・調子に乗った連中はついに少女を強制的に魔法少女にさせ始めた。

もちろん理由は今までの方法では効率が悪いから。
そして魔法少女にした少女はカプセルに閉じ込められ、薬物を投与された。

それは夢を見させる薬物だった。
少女達は薬物の効果で希望に満ちた夢を見て、それから絶望に満ちた夢を見させれた。

偽りの希望で幸福を感じ、偽りの絶望で魔女となっていった。
少女達は文字通り発電機にされていた。

私はこの事実を、実の妹が魔法少女になったことで知ってしまった。
魔法少女になった妹は、インキュベーターの基地に入り全てを知り、私に話したのだ。

妹は幸運な方だった。強制ではなく任意で魔法少女になったから。
私は妹に聞いた。どうして魔法少女になったのか・・・と。

妹は答えた。
私は心臓病を患っていた。だからその心臓病を治すために、と。
妹は私のために自分の未来を投げ出してしまった。

私は泣いた。
そして妹を抱き締めた。感謝の言葉を何度も言った。

同時に、私の胸には怒りの炎が渦巻いていた。

当然、インキュベーターへの怒りの炎。
私は最初、孤独に戦った。
真実を広めようとした。
しかし、インキュベーターのことなど知らない普通の人は皆私を狂人扱いした。

けれどもある日、ついに私の話を聞いてくれる人が現れた。
その人は、年老いた女性だった。
その女性の名前は、鹿目まどか。


113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 23:16:10.00 ID:xP0Vj0GZo

まどかは過去に大切な人を大勢亡くしていた。

一人は魔女の口付けにより自殺。一人は魔女に頭を齧られ
一人は魔女になり、そして一人は自分の命を犠牲にして魔女と共に果てた。

父と母、そして弟も魔女によって命を奪われていた。
そしてまどかが命の恩人と称する黒髪の少女も、いつの間にかどこかに消えていた。
どれもこれも、インキュベーターが全ての元凶だった・・・。

まどかには生涯を懸けて開発しているものがあった。
それは魔法少女を元に戻す機械だった。
大切な人たちが死んでから、死に物狂いで開発を続けていたのだ。何十年も。

・・・それで私は結局、魔法少女になった。
その機械の開発を手伝うため、そしてインキュベーターを追放するために。
私の祈りは妹を元の人間に戻すことだった。
妹は泣いた。私を責めた。当然だ。
でも、これしかなかったのだ。

私に与えられた特殊な能力は隠密行動の能力だった。
その能力を使い、私はインキュベーターの基地に忍び込み、資料や情報を盗んだ。

インキュベーターの詳細や、魔法少女についての資料を片っ端から盗んだ。
盗んだ資料は全てまどかに提供した。

インキュベーターを1匹捕獲し、解剖したこともあった。
おかげで、研究と開発はかなり進歩した。
私もまどかも、必死だった。
奴らがエネルギー源としか思っていない“感情”だけが私達を突き動かしていた。


114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 23:17:54.46 ID:xP0Vj0GZo

隠密行動の能力は非常に私に合った能力だった。
誰にも気付かれず自由に行動ができた。

私を見つけられないのは人やインキュベーターだけではない。魔女もだった。
気付かれることなく進入し、そしてナイフ1本で後ろから魔女の首を狩る。
これだけでグリーフシードは楽に手に入った。

そんな日々が続いたある日、あることが起こった。
私達人類は日々進化している。
それと同じように、インキュベーターも進化している。

彼らは元々人類より遥かに進んだ技術を持っていた。
その進んだ技術が更に進化し、彼らはついにとある至高の一品を完成させた。
――――タイムマシンである。

時を止める能力もある、高性能なタイムマシン。
ただし一つだけ欠点があった。
過去には行けても未来には行けないのである。

それもそのはず。インキュベーターは未来には行く必要がなかったのだ。
このタイムマシンは、過去へ行きまどかを魔女化させるために開発されたのだった。
魔女になったまどかは無限にエネルギーを生み出せる力があった。

当時・・・まどかが中学生の頃、インキュベーターは彼女を魔女化させるのに失敗した。
彼女が秘めた力を持っているのを知っていながら。

何故か?
それは一人の黒髪の少女がまどかの魔女化を阻止したのだ。
さて。その少女の名前は・・・?


115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 23:19:33.61 ID:xP0Vj0GZo

・・・運命の歯車が動き出す。
そう。何もかも始めから決まっていたのだ。

私はインキュベーターの攻撃を受け、瀕死の重傷を負いながらもタイムマシンを盗んだ。
手には、まどかから託された資料を持って。

その資料は魔法少女を元に戻す機械の重要な資料だった。
私は年老いたまどかに頼まれていた。
「過去の私を守って・・・そしてこの資料を使って機械を完成させて」と。

それに、ひょっとしたら完全に根付いた今は無理でも過去なら。
過去ならあのインキュベーターを追放できるかもしれない。
過去に戻る価値は、十分ある。

もうこの時間軸には戻れないかもしれない。いや、戻れない。
それはつまり、全てを捨てるということ。家族も友人も思い出も何もかも・・・。

それでも私は一握りの希望を胸に、過去へ飛んだ。
焦るインキュベーター達の目の前で飛んでやった。
過去を変えることはできない。しかし過去に戻り未来を変えることはできる。

「あぁ・・・その盗んだタイムマシンというのが、その腕の盾なんですわね」

「そう。でもこの盾はそこまで万能ではなかった」

まだ試作品なせいだろうか。
このタイムマシンは、決まった年月・時間にしか戻れなかった。
その戻れる日は、まどかがインキュベーターに初めて遭遇する1日前。

まどかは中学生だった。
まず私はまどかの中学校、そして同じクラスに転入するための工作を始めた。
タイムマシンの時を止める機能と、自身の特殊な力を使えば簡単だった。


116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 23:21:10.54 ID:xP0Vj0GZo

私は・・・常にまどかを守った。

魔女がまどかを襲えば、私はその魔女の眉間にナイフを突き立ててやった。
インキュベーターが彼女に近付けば、私はそいつを蹴飛ばしてやった。
まどかを守るので精一杯だった。

一方で周りの連中は自ら破滅の道を選んでいった。
美樹さやかは愚かにも自ら魔法少女になり、結局は魔女と化した。

志筑仁美は魔女の口付けで自ら首を吊って死んだ。
巴マミも、魔女になった美樹さやかを倒した後にショックで佐倉杏子と共に自殺してしまった。

まどかは嘆き悲しんだ。
私は彼女を抱き締め、慰めようとした。

しかしまどかの心は完全に壊れてしまっていた。
私が少し目を離した隙に、彼女はインキュベーターと契約してしまった。
迂闊だった。

まどかは「みんなにまた会いたい」と願ってしまった。
インキュベーターは約束通り美樹さやか達を復活させた。

しかし、その美樹さやか達は“まがい物”だった。
連中の造ったクローンだったのだ。
「皆に会うっていうのが君の願いだろう?会えて良かったじゃないか」
インキュベーターはケラケラと笑った。

・・・私は黙ってタイムマシンを作動させ、過去に戻った。
もう一度やり直そう。きっと今度は大丈夫。
次はまどかだけではなく・・・なるべく皆を守ろう。

私は常に周囲に気を配った。
けれども、上手くはいかなかった。

私の忠告を無視して美樹さやかは魔法少女になってしまう。
そして佐倉杏子が現れ、激闘の末に佐倉杏子は美樹さやかを殺害。
怒り狂った巴マミは、先ほどの戦いで傷付いた佐倉杏子を殺害。


117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 23:23:13.17 ID:xP0Vj0GZo

手足の欠けた美樹さやかの死体。頭がザクロのように弾けた佐倉杏子。
笑いながら佐倉杏子の死体に銃を撃つ完全に狂った巴マミ。

まどかは泣き叫んだ。
その悲痛な叫び声を聞きながら、私は再びタイムマシンを作動させた。

3周目。
私は前もって、美樹さやかを殺害した。彼女は余計なことしかしないから。

美樹さやかが魔法少女にならなかったため、佐倉杏子は現れなかった。
そして巴マミはまどかにもさやかにも会えず、孤独に負け魔女化してしまった。

結局・・・最後に残ったのは私とまどかだけ。
でも今度は大丈夫だと思った。美樹さやかは家出扱いだったし。
志筑仁美も珍しく生きていたし、まどかへのダメージは最小限だ。

・・・でも駄目だった。密告者がいたのだ。
その密告者はインキュベーター。

あいつはまどかに、私が美樹さやかを殺害したことを言ってしまったのだ。
死体は魔女の結界の中に置いてきた。あそこなら絶対に見つからない。完璧だと思った。

しかしご丁寧にも、インキュベーターはその美樹さやかの死体からヘアピン持ち帰り、まどかに見せた。
もちろん証拠として・・・である。

まどかは私を少しずつ疑い始めた。心が痛かった。
何度かまどかに質問された。ほむらちゃんがそんなことするわけないよね?と。

最初は嘘をついていた。まどかに嘘を付くのは辛かった。
結局、最後は本当のことを言ってしまった。美樹さやかは私が殺した、と。

当然まどかは私を責めた。泣きながら人殺しと私を罵った。
また失敗してしまった。この世界はもう終わっている・・・。
私は涙を流しながら、タイムマシンを作動させた。

前回の苦い経験から、私は美樹さやかを排除ではなく救う方向に完全にシフトした。
いや、美樹さやかだけではない。巴マミや佐倉杏子もそうだ。
誰か一人欠けても、私達の未来は破滅へと進んでしまう。


118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 23:26:30.84 ID:xP0Vj0GZo

まどかの契約を阻止しつつ、美樹さやか、巴マミ、佐倉杏子を守る。
同時にインキュベーターの追放の方法を考える。

不可能に近いとは自分でもわかっていた。でもやらなければいけない。
まどかのため、自分のため、未来のため・・・。

失敗して、過去に再び戻るたび私の心は傷付いた。
しかし、まどかの笑顔を見ると力が湧いた。
絶対にまどかを守りたい。そう思えた。

失敗し、過去に戻った回数はいつの間にか30回を超えていた。
30回も悲劇を見続けた。

しかし・・・35回目に達した時、ついにタイムマシンは白い煙を吐き始めた。
故障寸前か。はたまた故障したか・・・。
厭な汗が流れた。
ひょっとすると・・・これがラストチャンスかもしれない。



しかし――――そのラストチャンスで奇跡が起こった。



たった一つの何気ない事故が、全ての運命を変えた。
そう。あの日。

志筑仁美が転んだまどかを受け止めようとするも、誤って腹部に拳をめり込ませてしまった、あの事件。
あの事件が全てをひっくり返した。

あの事件がきっかけで志筑仁美は腹パン道に入門することとなった。
志筑仁美が腹パン道に入門し、何が変わったか。


119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 23:27:41.74 ID:xP0Vj0GZo

まず一つ。
あの日、路地裏で志筑仁美が腹パンしたことで、美樹さやかと佐倉杏子は仲良くなった。
結果、美樹さやかの魔女化、佐倉杏子の死は回避された。

二つめ。
あの日、志筑仁美は腹パン道の人間になっていたおかげで、巴マミと接触できた。
そして巴マミも、志筑仁美に会ったことで魔女を倒す時の必殺技を、いつもと違うのに変更した。
結果、無事魔女の撃破に成功し、巴マミは死の運命から逃れられた。
その後も、彼女は志筑仁美という仲間が出来たおかげで、孤独に負け魔女になることはなかった。

誰も死なない、最高の条件。
そして志筑仁美と巴マミが死ななかったからこそ成功したインキュベーターの追放。
誰か一人でも欠けたら何もかも成功しなかっただろう。

そう。
いつも魔女の口付けで自殺し、早々と退場していた志筑仁美。
中には、美樹さやかに無残に殺されることもあった志筑仁美。

全てその志筑仁美がハッピーエンドへの鍵だったのだ。
最初、彼女はまどかに付き纏う邪魔者としか思っていなかった。
本気で殺そうとしたこともあった。
でもそれは間違いだった。





「・・・志筑仁美。ありがとう」




120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 23:29:27.03 ID:xP0Vj0GZo


私は彼女に向かって、笑顔でそう言った。
私は未来を掴む事に成功した。志筑仁美のおかげで。

彼女に心から感謝する日が来るとは思わなかった。
私が心から笑顔になれたのは、随分久しぶりな気がする・・・・・・・。






全てタネ明かしを終え・・・。
最後は私、ほむらさんの救世主(メシア)こと志筑仁美の語りで締め括りたいと思います。
あれから、私達は平穏な日々を手に入れました。

魔法少女という刻印は消えていませんが、まぁ大丈夫でしょう。
というのも、私達にはほむらさんが用意してくれた救いと希望があったから。
そう。魔法少女を元に戻す機械です。

確かに、いつ完成するかはわかりません。完成しない可能性も十分あります。
でも1%でも希望があるのなら、私達は諦めずそれに賭けます。
諦めたところで待っているのは魔女化だけですし。

大丈夫です。まどかさんはやれば出来る子です。保障します。
もちろん私も手伝います。
まどかさんの研究のためなら脱ぎます。

では、続いて皆さんの近況を。


121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 23:30:43.69 ID:xP0Vj0GZo

まず暁美ほむらさん。
彼女は念願叶い、ついにまどかさんと正式にお付き合いすることになったそうです。

最初に告白したのはまどかさんの方だったようです。
まぁ、当然ですよね。

ほむらさんはまどかさんのために何もかも捨て、頑張ったのですから。
最近は笑顔も増え、とても幸せそうです。

来週にはお二人でハワイに行くそうです。
バカンスです。綺麗な海で泳いで、夜はホテルでムフフです。
私も混ぜてください。見てるだけで何もしないので。


次に佐倉さやかさんと佐倉杏子さん。
彼女達も相変わらずです。
新婚旅行のイルクーツクはとても楽しかったと言っていました。

とっても仲のいいご夫婦です。自分に腹パンしたくなります。
あ、でも最近はさやかさんがドSな鬼嫁になってきました。
杏子さんに首輪つけて登校してきたり、まぁ色々と。

でも流石に、「今日は杏子下着着けてないんだよねー」と公表するのはマズいと思います。
まぁ杏子さんも喜んでるようですし、夫婦のプレイには口出ししないでおきましょう。

あ、あと子供の名前は杏子+さやかで『杏佳』らしいです。
羨ましくなんかないんだからねっ!


122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 23:32:06.52 ID:xP0Vj0GZo

そして巴マミさん。
彼女はますます強くなり、「敗北を知りたい」が決め台詞になりました。

今では毎週東京ドームの秘密地下闘技場で戦い、賞金を荒稼ぎしてます。
私はそんな彼女ととても仲良くさせてもらってます。

一緒に山篭りしたり、佐倉さんの夫婦の営みを覗いたり。
腹パン友・・・というやつです。

それで私も彼女みたいに髪を巻いてみました。似合ってますか?
あ、ちなみに私と同じく独身の彼女ですが
マミさんはやっぱりほむらさんのことをまだ諦めず狙ってるようです。
「今日こそ暁美さんを無理やり・・・」と言ってましたがどうなることやら。


で、最後は私・・・志筑仁美の近況を報告したいと思います。
私は相変わらず、皆さんの分まで魔女と一人で戦っています。

キュゥべえさんがいなくなったので、もう魔法少女は増えることはありません。
しかし魔女は魔法少女がいなくならない限り増えていきます。

魔女になったら、もうどうすることもできません。
なので私は魔女を倒すことで救済しているのです。
笑顔と救済のために戦う孤独なグラップラー、志筑仁美です。よろしくお願いします。

誰かを救えば救うほど、誰かを呪わずにはいられない。
ソウルジェムは少しずつ濁っていきます。
濁ったソウルジェムは穢れをグリーフシードに吸収させれば元に戻ります。

ですがですがっ。最近判明したのです。
なんと、好きな人と一緒にいれば・・・ソウルジェムが濁ることはないのです。
愛は呪いを追い払うのです。やっぱり愛だよね!愛は絶対勝つんだよ!ぜーったい!


123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 23:33:39.11 ID:xP0Vj0GZo

・・・しかし、それは恋人のいる甘~いスウィート☆デイズを過ごしている魔法少女限定の話。
ロンリーウルフ・ロンリーグラップラーな私には関係のない話でした。

らぶ☆らぶなカップルを見てると・・・誰かを呪わずにはいられない・・・。
魔法少女って・・・こういう仕組みだったんだね・・・。

見てください。この私の濁りきったソウルジェムを。
私って・・・ほんと馬鹿・・・。

「志筑仁美。魔女化するなら別のとこでお願いできるかしら」

「ほむらちゃん・・・そういうこと言っちゃダメだよ・・・」

「そうね。まどかの言う通りだわ。まどかちゅっちゅ」

「いやんっ・・・ほむらちゃん・・・ダメだよこんなところで・・・」

「ならホテルに行きましょう。まどかほむほむ」

「うぅ・・・ほむらちゃんのえっち・・・でもいいよ・・・行こう・・・?」

ピシッ。
私のソウルジェムにヒビが入ります。
かつて綺麗な緑色だったそれは、今では真っ黒に濁りきっていました。

らぶ☆らぶなカップルを見てると・・・誰かを呪わずにはいられない・・・。
魔法少女って・・・こういう仕組みだったんだね・・・。
私って・・・ほんと馬鹿・・・。


124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 23:35:41.94 ID:xP0Vj0GZo

「さやかー、腹減ったー」

「ん。何か食べたいのある?」

「さやかの手料理食いたい」

「はいはい。ハンバーグでいい?」

「あ、でもその前にさやかを食いたいな」

「ちょっ、何言って・・・・・・はぁ。仕方ないわね。そこのホテルに行きましょ」

「15時間コースなっ!」

「はいはい了解」

バリッ。バリバリッ。
ソウルジェムのヒビは増えていきます。

らぶ☆らぶなカップルを見てると・・・誰かを呪わずにはいられない・・・。
魔法少女って・・・こういう仕組みだったんだね・・・。
私って・・・ほんと馬鹿・・・。

瞳から涙が一粒、ぽつんとソウルジェムに落ちます。
バキッ。ビシャッ。
ソウルジェムはついに砕け、私はついに魔女へと変化を――――

「その必要はないわ」


125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 23:36:57.44 ID:xP0Vj0GZo

しかし。
次の瞬間、私はぎゅっと抱き締められました。
このおっぱいの感触。マミさんです。

「志筑さん・・・私と恋人になってくれないかしら」

「えっ・・・でもマミさんはほむらさんが・・・」

「・・・いいのよ。フラれたわ。当たり前よね」

「そんな・・・」

「仲のいい暁美さんと鹿目さんを見ていると、誰かを呪わずにはいられない・・・。
 魔法少女って・・・こういう仕組みだったのね・・・」

「ま、マミさんそれ・・・!」

見ればマミさんのソウルジェムは真っ黒に濁り、渦を巻いていました。
もういつ魔女化してもおかしくない状態です。

「私って・・・ほんと馬鹿だわ・・・」

「ま、マミさんっ――――」

私は思わず、マミさんにキスをしてしまいました。
彼女を救うには、これしかないと思ったから。

「し、志筑さん・・・?」

「マミさん・・・私がいるからもう大丈夫ですわ」


126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 23:37:59.28 ID:xP0Vj0GZo

マミさん。一人は寂しいですもんね。
いいですよ。私が一緒にいてあげますよ。

「うぅ・・・・・うわぁあぁん・・・・・・志筑さんっ・・・!」

気が付けば、マミさんのソウルジェムは再び黄金色の輝きを取り戻していました。
私は自分の砕けたソウルジェムをセロテープで修復します。
アロンアルファの方がよかったですかね。

「マミさん・・・孤独な猫さんは私が拾って差し上げましょう」

キリッとした顔で言います。
フフッ。モテる女はツラいですね。

「志筑さん・・・好きっ、好きよ!」

「フフ・・・焦らないで、子猫ちゃん。私は絶対に逃げたりはしないのゴフッ」

最後にノイズが入ったのをお詫びします。
でも仕方ないのです。
何故ならマミさんの拳が私のお腹にめり込んでいたから。

「志筑さん・・・大好き・・・毎日腹パンさせてね・・・?」

「ま、毎日はちょっと・・・遠慮しますわ・・・おえぇっ・・・」

「そんな・・・」

胃の中身を全て吐き出し、私はハッとします。
いけない。マミさんのソウルジェムがまた濁ってきているッ。


127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 23:39:41.57 ID:xP0Vj0GZo

「う、嘘ですわ!私はマミさんの腹パン奴隷ですわ~!」

「志筑さん・・・嬉しい・・・!」

「でもやっぱり毎日はガハッッ」

マミさんはよほど嬉しいのか、私のお腹をバンバン殴ります。愛が重いよ。
バキッ・・・バキバキ刃牙バキッ。ボロッ。

嗚呼。また私のソウルジェムが粉々に。
やっぱりアロンアルファで直すべきでした。

「ハァハァ・・・志筑さん・・・私達もホテルに・・・」

「えっ!?そっ、そんな・・・早すぎますわっ」

「ホテルで・・・朝まで志筑さんに腹パンしたいの・・・」

「・・・・・。こんなの絶対おかしいですわ」

さて。
世にも不思議な腹パンカップルが誕生したところで、この物語を終わりにしたいと思います。
私はもう独りではありません。
しかし、戦いの日々は終わりませんし、希望を追い求める毎日も終わりません。 
でもマイ・スウィート☆ハニーのマミさんと一緒なら何とかなる気がいたします。愛が重いけど。
あ、あと「腹パン少女ひとみ☆ヒドカ」改め
「腹パン奴隷少女ひとみ☆ヒドカ」になりました。よろしくお願いします。

さて。ホテルに行く前にアロンアルファ買いに行かないと・・・。






まどか「腹パン奴隷少女ひとみ☆ヒドカ・・・?」 おわり


129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 23:47:54.01 ID:XHmlohNK0

カオスだ…
とりあえず乙
(U^)



131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/19(土) 00:43:08.19 ID:YQg/IGYN0

接着剤で大丈夫なのかよww


132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/19(土) 02:03:34.97 ID:GFxirYPAO

乙、最後は最強の腹パニストを決める戦いが見たかったなww



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